2017年製作ノルウェー映画。
2017…?
これが2017年製作で今月の新作としてレンタル開始の映画…?
1957年製作でも驚かんぞ…
これ1950年代のお化け屋敷映画をそのまんまリメイクしただけなんじゃないの?
それもスタッフは70歳以上の老人ばかりなのではないか?
と文句を言いたくなるぐらい、本作は古臭いです。
1950年代当時の人々に本作を持ってって見せても「古風な映画だね」と苦笑いされそうなぐらいクラシックスタイル。むりやり良く言えば老成している。
騙される人もあんまりいないかと思いますが、
「『エスター』に続く衝撃作!」
って煽り文句はあまりにも酷いですね。
エスターと何の共通点もないんですけど…
斧持ってるけどそんなもん使わんし。
ホラー映画のくせに誰も死なんし、それどころか血の一滴すら出ない。
心理的に怖いわけでもないし、例えるなら炭酸とアルコールを抜いて常温にしたビールみたいなもんかな。
本作は全体的に老人が撮ったかのような手堅すぎる地味さが持ち味ですが、
それだけに映像だけはなかなか綺麗です。カメラも無駄に動かず落ち着いており老人にも見やすいバリアフリー仕様。例によってノルウェーの幻想的な雪景色が美しい…というのが本作唯一最大の見どころでした。しかし風景を楽しむしかない映画にもさすがに飽きてきました。
ストーリーはもうめんどくさいんで公式HPから引用させてもらいますが、
亡き父の家を売り払おうと屋敷を訪れたカトリーナ。地元の人々がこの家で起こったマリーという少女の失踪事件の話をしても彼女は何も思い出すことができない。思い返してみると、カトリーナにはこの家にまつわる幼い頃の記憶が少ししかなかった。なぜ母が死んだのか、失踪したマリーとはどんな少女だったのか・・・。ある日、不思議な少女が屋敷へやってくる。雪が降り積もっているのにも関わらず少女は薄着で頬には殴られた痕があった。不憫に思ったカトリーナは少女を家へ招き入れるが、それをきっかけにカトリーナの失われた記憶が呼び覚まされ・・・。
いわくつきの一軒家で寝泊まりしていたら心霊現象に悩まされて
その家の恐ろしくも悲しい過去が明らかに…
という、王道だとか手垢がついてるとかそういうレベルじゃないぐらいに古典的なお話。
主人公のカトリーナがめちゃくちゃ嫌な奴だというのも辛い。
せっかく妊娠したのに、子供を楽しみにしている夫に黙っておろそうとするとかどうなんですかね。
それが夫にバレて問い詰められても逆切れして家から追い出すとかもう最悪に不愉快としか言えません。
他にも、不動産屋に自分から家の査定を頼んでおいて、査定中にいきなり発狂して追い出したりとかもうほんとイラつきます。理由もよく分からんしだるくて読み解く気も起きない。
いくら映像が綺麗であっても、これはキツイ。
それだけではなく、本作は北欧らしく基本的にえらく物静かな雰囲気で進行していくのですが、ジャンプスケアがかなり過剰気味。
つまり、シ~~~ンと静かな時にいきなりドギャーンガターンバゴーンとデカイ音を鳴らしてビックリドッキリさせてきやがる。
私は映画の技法ではまずPOVが一番嫌いですが、
二番目に嫌いなのがこのジャンプスケアと言っても過言ではありません。
いきなりでかい音を立てたら誰でも驚くに決まってます。特に本作は音量の落差が激しかったため、私だけでなくウチのインコたちも一緒に驚いてましたからね。
しかしそれに何の意味がありますかね?
POVの意義はまだ分かりますが、ジャンプスケアというくだらねえコケオドシ技法が未だにはびこる理由が全く理解できません。これを無駄に多用しているホラー映画には問答無用でド三流の烙印を押してあげたい。
過去にこの家で殺人があった!
とか、
壁の中に50年前の死体が隠されていた!
とか、
いまどきそんなんで怖がってくれる人はいるんでしょうか。
何かもうベタベタすぎて言葉も出ない。
もうちょっとひねれないものか。
引き合いに出されてる「エスター」は主役の少女の正体が〇〇だったから
サスペンスとしても意外性があり、ホラーとしてもリアリティのある恐怖の煽り方が出来ていてまさにサスペンスホラーのお手本のような秀作となっていたわけですが、
本作のマリーは単なる幽霊。
そのまんまかい。
それを…まるで「衝撃のラスト」とでも言いたげにそれまでのシーンを振り返られても…。
というわけで、一応クソ映画ではないのですが
そこら辺のクソ映画より圧倒的に面白くなかったです。
今月の新作で言えば「
ザ・エクスペリメンター」よりはマシだったからいいですけど。
でも普通のクソ映画マニア的にはそっちをチェックすべきだと思うし、
本作は美しい雪景色を眺めたいクソ映画マニアの方ぐらいにしか勧められません。