製作:2015年アメリカ
発売:アメイジングD.C.
父親を亡くし、母親に仕送りをしながら大学に通わなければならなくなったカイリーは、インターネットのポルノサイト「ガールハウス」で働くことを決める。そこは出演者を住み込みで集めて私生活を常にさらけ出しているのが売りのサイトだった。
常連のLOVERBOYはカイリーを気に入るが、ある日自分が彼女らの間でバカにされていることに気付いてしまう。激怒したLOVERBOYはガールハウスに乗り込み殺人をネット配信し始める。
本作は4年前の映画です。なので、本来なら日本では公開もソフト化もされずにスルーされる運命だったのではないかと思うんですが、去年大ヒットした「
ヘレディタリー/継承」製作チームによる過去作ということで箔をつけやすくなり無事ソフト化に至ったようです。
もしこれが1970年代だったら「ヘレディタリー2/女館」みたいな邦題で売られていた可能性もありましたが、さすがに現代ではそんな露骨な詐欺行為は働けなかったようです。
まあその代わりジャケにデカデカと乘ってる「スマイリー」みたいな仮面の男は全く出てきませんけどね。どこかしら虚偽表示をしないと気が済まなくなってる配給会社の業は深い。なんだか煽り文句的にも都市伝説の一種みたいなオカルト野郎に見せかけたい風ですが、襲ってくるのはあくまでただの人間です。
インターネットライブ配信中に殺人鬼が襲撃してくるホラー映画というと「ハロウィン レザレクション」なんてのもありましたが、本作はカメラ満載の豪邸に女の子を集めて住まわせてなんやかんや配信しているポルノサイトに殺人鬼が襲撃して来るという話です。
当然主人公の女の子カイリーも大学生でありながらポルノサイトで働いちゃうようなアレな娘っ子なのだろう。と思いきや、そこは「自分で学費を稼ぎながら母親に仕送りせねばならない」というかなりハードな経済状況を設定し、さらに「別に全然大したポルノ映像でもない」ぬる~い仕事ぶりとの合わせ技で、相当むりやりではありますが「優等生のいい子ちゃん」という雰囲気を醸造することに成功しています。
「ガールハウス」自体は365日24時間体制でエンジニアチームが監視しており、出演者がどこの誰かを知られることも無く、仮に認識する者が現れても即ブロック出来る最高レベルのセキュリティで安心して働けるのが売りとなっています。…という説明を聞きつつ、いくらセキュリティを固めようが出演者は素顔でなんやかんやするわけですから、カイリーの「売春やストリップとは違う 相手はパソコンだから大丈夫」みたいな理屈にはまったくもって同意できませんね。案の定同級生に速攻でバレてますしね。仮に月給1万ドルだとしてもちょっと割りに合わないんじゃないか?というぐらいリスキーなバイトではないかと。
で、本作は意外と「そういうサイトで働くと言うことはどういうことか」みたいなくだりが長くて、殺人鬼が襲ってくるのはだいたい1時間ぐらい経ってからだったりします。それまでの展開も別に退屈ってわけではないですが、タメが長かっただけあっていざ殺人ライブ中継になるとかなりテンションが高くて面白い。正直大きな声では言えませんが「ヘレディタリー」よりこっちの方が好きです。殺人鬼は安っぽいゴムマスクに肥満体系の作業着姿で、レザーフェイスとマイケル・マイヤーズを足して2で割ったようなノリ。かなりの肥満体のくせにとにかく全力疾走してくるので迫力が凄い。《質量×速度=破壊力》を体現しています。しかもただの走れるデブではなく、取り押さえる気満々で出てきた元ラガーメンの首の骨を折って瞬殺するほど強いので絶望感と緊張感もなかなか。スラッシャーホラーとしての出来は上々です。
↑仕事中にのんびりポルノサイトを見ていたのにいきなり殺人を見せられてドン引きの日本人(?)。
ガールハウスが世界中で観られているとはいえわざわざ東京を出さんでも…突っ込みどころがありまくりですが、パソコンに「女館」と貼ってあるのが最大のポイントか。ガールハウス専用パソコンなのか。というか限りなく中国っぽい。