「
インデペンデンス・デイ2016」は原題からして本家インデペンデンス・デイのパチモンでしたが、本作は一応「ドローン・ウォーズ」という原題なので輸入者が勝手にパチモン(の続編)に仕立てたパターンです。
ローランド・エメリッヒ作品はパチモン業者に大人気ですね。
頭使わないで観れる映画ばかり撮ってるからファンもあまり深く考えずにレンタルしてくれるんでしょうね。…私みたいに。
「今年も奴らはやって来る!!大ヒットSFアクション、シリーズ最新作!!!」
とさもシリーズのようにアルバトロスのHPで謳われていますが。
まあ、どれだけウソを並べ立てても面白ければいいんですよ。
何なら毎年やって来てもいいんですよ。
本作は、スタート時点から既に正体不明の無人機の群れによる襲撃を受け、国家は壊滅し、かろうじて生き残った人々が細々と暮らしている終末的な様相を呈しています。
ホーネットというレジスタンス組織だけが何とかドローンへの反撃を模索したり、
残った市民の秩序を維持。
序盤から既にカニバリズムが横行するぐらいの食糧難の中、絶望的な戦いを強いられています。
つかこのカニバリズムシーンはゾンビ映画要素もあるのかと思いましたよ。紛らわしい。
…本作ではその「ホーネット軍VSドローン軍」に絞ってストーリーを展開してくれたら良かったんですがねえ。
マッドマックスとか北斗の拳の悪役的な無法者集団に多くの尺が割かれる構成となっています。これが例えるならカレーライスにらっきょが20個ぐらいのってるような邪魔臭さ。ちょっとならいいんだけどそんなにいらんっていう。
結末まで観れば彼らには大した役割がないのは一目瞭然なのに、
敵対組織と同盟を組むかどうかでモメたり、組んだ後も裏切りや内輪もめが起きかけたり、
80分そこそこの映画なのに1時間を過ぎてもまだ彼らが一般人をいたぶるシーンがあったり。
リーダーの資質について議論したりするけど結局あっさり死にやがるし。
尺稼ぎもほどほどにしてくれないと視聴者のフラストレーションは増すばかりです。
せめて彼らがどこか奇抜な悪党ならまだ良かったのですが、ステレオタイプというか、悪党としては真っ当な行動しかとらないのでネタにもなりません。
ホーネット軍の主力として活躍するのは我らがコリン・ネメックです。
今回はあまり癖がなくて純粋に人助けに尽力する正義の味方役。
まあまあカッコイイとは思いますが、
ビーチシャークの時のような面白味は全くありません。
アンタに期待しているのはこういう真っ当なヒーロー役じゃないんだ…。
で、正体不明のドローン軍なんですが当然ながら、
エイリアンの襲撃なのではないか?という推測が序盤から立てられます。
ということは、本家インデペンデンスデイやパチモンの2016みたいに
終盤で敵のエイリアンが姿を現したり、もしくはどんでん返しとして
ドローンは純粋なテクノロジーの暴走だった!とか未来からやって来た機械軍だった!
とか色々なパターンが考えられるわけです。
地球の核から金属を吸い上げているとか、今まであまり見ない行動パターンも示されていましたし何か新しいネタを出してきてくれるかも、という期待がありました。
…が、結局ドローン軍は正体不明のまま終わってしまいました。
何でやねん…
唯一そのネタだけを楽しみに悪党の内輪モメとかしょうもないシーンも耐えてきたのに…。
ザコドローンが故障したら無人機のくせに救難信号を出して母艦を呼びます。
人類側はそこを反撃に利用するわけですが、この妙な特性も敵の正体に関わる伏線だと思ったのになあ…
総評すると本作は「インデペンデンスデイ2016」よりは面白いし、水増し尺稼ぎもあるとはいえ虚無的な薄め方ではないのでそこまで酷くはないと言えます。
が、普通の人にオススメできるレベルでは到底ないので
結局オススメできるのはコリン・ネメックのファンにだけとなります。
そんな人がどれくらい存在するのか知りませんが。