「監督・脚本 マルコ・マーキラークソ」
って監督の名前にクソが入っちゃってるのがどうしても気になる本作ですが
調べてみると「
アイスフォール」を撮った人でした。
アレはすごく微妙だったな…と期待できない感じでしたが
本作はかなり出来の良いコメディ映画となっていました。
ジャケットには恐怖のパニックアクションとありますが
本作はシリアス成分が冒頭のみで、あとはほぼゼロ。
ノリとしてはスパイダーパニック!に近いものがあります。
ネットであらすじを見ると
「無敵のモーターサイクルライダーの兄・ルーカスと天才メカニックの弟・ブライアン」
と書かれていますが本編では兄弟だなんて一言も言ってなくて「親友」ってことになってますがどっちが正しいんですかね。どうも本作の字幕はちょっと変な気がします。
というのも、本作では「
必殺マン」なるヒーロー物の映画シリーズがあって、
ブライアンたちの憧れだったり、パーティに必殺マンを招待したりと非常に重要な存在なのです。あんまりにも影響が大きすぎて、クライマックスで
「
我こそは必殺マンだ!」とか叫んじゃいますしね。かっこ悪いよ。
まあ、ヒーローと言ってもアメコミ的なスーツは着てないし
ただのオッサンにしか見えないんですけど。
それで「
必殺マン」とはねえ…
キン肉マンでもこんな脱力系のネーミングは出てきませんよ。
頑張ってリスニングしてみましたがどうも「エラディケイター」と言ってるように聞こえます。
何をどう翻訳したら「
必殺マン」になるのか。
まあコメディ映画だから多少気が抜けるようなネーミングでも問題ないのかもしれません。
本作の巨大蟻は、プロローグでこそ兵士や一般人を殺戮してくれますが
そのあとはあまり怖がらせてくれません。
エタノールがあれば繁殖できるという設定なので酒を手に入れるためにパーティ会場を襲って来て、ビールを飲んでゲップをするような愉快モンスターです。
しかしモンスターのCGがものすごくイマイチだった「アイスフォール」と違って本作の巨大蟻は実に出来が良い。イキイキしています。あんまり人を襲ってないのが残念でなりませんが。
いや、レースの祝勝パーティ会場はバッチリ襲ってくれてパニックにはなるんですが、
幼虫のエサとして生きたまま巣に連れ帰るので案外誰も死にません。
ブライアンたちも危機に陥りながらも常に能天気な会話や恋愛相談などに興じるので緊張感などは微塵もなし。
まあそういうノリなので妙にSF的な武器やスーツを手に入れたり、シリアス系のモンパニ映画だとちょっといただけない要素もありますが全体的にはかなりクオリティは高いと言えます。
コミカル系モンパニが嫌いでなければまず楽しめる部類でしょう。
さらに、本作はエンドロールに異様なほど気合が入っており、
まずファミコン風のドット絵で巨大蟻との戦いが楽し気に描かれ、
さらにその後スーパーファミコン風のドット絵でサイドストーリーらしきものが描写されるのです。ここはオープニングからアドベンチャー風の画面、シューティングステージや見下ろし型マップなどめちゃくちゃ細かく作り込んでおり、なんでそんな労力を注ぎ込んだのか疑問ですが。
ただ、文字が全部小さい英語で、メッセージ送りもかなり早いので読み取れないのが非常に残念です。出来たらここにも字幕付けてほしかったですね。
…と思ったらこの映画、元ネタが昔のゲームのようですね?
ということはこのゲーム画面も映画用に作ったわけじゃないのかな。
まあ、マルコ・マーキラークソ監督の次回作が楽しみにはなりました。