おっ今さら新作コーナーにローランド・エメリッヒの「2012」のパチモンが…?
さすがにもう間違って借りる人はいないんじゃないの…?
と思ったら、例によって
「2018年世界終末予言”死海文書”をテーマに描く、ディザスター・パニック最新作!!」
(アルバトロスHPより)
などと一つも合ってない紹介文が。
原題は「doomsday device」なので世界終末発生機…とかそういう感じ?
少なくとも「2018年」や「死海文書」などと言ったワードは1ミリも出てこなくて、
出てくるのはオダ・ノブナガが使用していたジュブツという名の石でした。
ディザスターパニックだと思って観始めると、プロローグでいきなり戦国時代の日本が出てきて驚くことになります。
もう、アメリカ人がフィクションに日本を登場させる時にリアリティとかはカケラも期待する気はありませんが、それでもちょっと想像できないぐらい変な描き方をしてきますね。
般若の面を被った武将。
本作の世界では、オダ・ノブナガは天からビームを降らせることが出来る
チカラのある石「ジュブツ」のパワーで日本を支配していたそうです。
で、それは黒巫女ユカイに授けられたものだとか何とか。
「ユカイ」ねえ…漢字表記だとやっぱ「愉快」なんでしょうね…これしかないもんな。
ジュブツは呪物だよなあ、しかしなんでそんなネーミングになるのかはなはだ疑問です。
愉快な呪物と言われれば確かにそうですが。
あと黒巫女って一体どういう存在なんですかね。
このトンチキなプロローグに反して、直後に出てくるオープニングクレジットはなかなか格好良いです。
↑「異常」とか「交戦」とか「腐敗」とかの漢字がJホラーっぽく禍々しく並んでいるのをバックに流れていくコリン・ネメックの文字。
またお前か。BGMもシリアスな雰囲気でいい感じ。
この時点ではちょっと期待が膨らんだんですが、
やっぱダメな方のテレビ映画でした。
今さら「2012」のパチモンジャケットにされただけのことはあります。
天からビームを降らせる「ジュブツ」を世界一のIT大富豪が手に入れ、それを追うFBI捜査官をコリン・ネメックがやっているのですが、悲しいことに天からビームを降らせるスペクタクルシーンがまず少なく、ビームの威力もいまいち強力に見えず。
パニックに陥る群衆が全然出てこないのはかなり痛いですよ。というかエキストラ皆無なだけじゃなくFBI捜査官も人数が少なすぎますよ。とにかく人がいない。
それより何よりコリン・ネメックとその相棒の捜査官が漫才をしながら悪党を追跡する、というのがキツイ。コメディ調なのにあんまり笑えない掛け合いなんですよね。無駄にゆるい空気にしちゃってるだけ。
笑いなら変な日本関連だけで充分っちゃ充分なんですが、アメリカ映画で出てくる日本はむしろ変なのが定番なのでそこまでの爆発力はない。多少ニヤリとする程度。
にしても「オダ・ノブナガ」じゃなくて「ノブナガ・オダ」って言わないのかな?と思っていたらどうも「ノブナガ」の方を苗字だと認識しているみたいでした。
「侍ノブナガの一族」とか「ノブナガ一族の末裔」とか言ってましたからね…
頭から尻尾まで何だこりゃなヌケサクですが、中でも一層ポンコツな見どころがあります。
「ジュブツ」を手に入れた世界一のIT富豪が全テレビ局を電波ジャックして見せしめにビームを市街地に降らせ、世界征服を宣言するのですが凄まじく幼稚臭い絵面に驚きを隠せません。
「暗黒街の全首領を束ねる世界組織の長」とか言われちゃってるし。
そこまで登り詰めてるなら別に今更ビームとか撃つ必要ないんでない?
やってることはドラゴンボールの初代ピッコロ大魔王がやってた世界征服宣言とほとんど同じですが、ヒゲのオッサンがショボイCGでやっちゃうとここまで陳腐に見えるのか…と好事家的には必見の腰砕け具合と言えます。
テレビ局もFBIもあまり真面目に相手してないのが少し笑えます。
一般人の反応も一切映さないし。
クライマックスは般若面の忍者隊とFBI数人とのぬるいバトルがあったり、
ノブナガ一族の末裔が日本刀でIT富豪のビームとつばぜり合いしたり、
コリン・ネメックが二挺拳銃で無双したりとボチボチ楽しめなくもないです。
総評すると、面白いとはお世辞にも申せませんが、安いゲテモノと分かって観る分には新作料金でレンタルしても損したとまでは言えない出来だと思います。