ある好事家の記録 主に変な映画の感想

変わった映画を見つけたらそれを語りたいブログ。  主にモンスターパニック映画、特にサメ映画の感想が多め

ゆれる人魚 感想(ネタバレあり)



製作:2015年ポーランド
発売:ハピネットピクチャーズ








黒人魚」を観た時に「人魚が出てこねえ!」と文句を言ったらコメント欄でおすすめされた映画です。

と言っても私は別に人魚に興味があるわけではないし、ポーランド映画はほとんど観たこと無いし、そのうえ本作は私にとって鬼門とも言えるミュージカル映画です。
私が観たことのあるミュージカル映画なんてド定番の「サウンド・オブ・ミュージック」以外だと「アタック・オブ・ザ・キラートマト」ぐらいしか記憶になく、果たして私に理解可能な映画なのか非常に不安でした。

しかし、おすすめされたからには観ないわけにはいきますまい。
ほぼ独り言を垂れ流してるような感じで書き散らしてた当ブログですが、訪問者さんにおすすめ映画を挙げてもらえるようになったのは実にありがたいことです。





まずジャケを見て思ったのが「サンマみたいな下半身の人魚だな」ってことだったんですが、そもそも人魚の下半身って一般的には何の魚がイメージされるんでしょうか。(ジュゴンは置いといて)少なくともサンマではなかろうと思うんですが、じゃあ鯉とか鮎なのか、それとも鯛とか鮪なのか…

しかし本編を見ると全然サンマのような光り物なんかではなく、形状はウツボで質感はホッケみたいな感じでした。全然人魚のイメージとは違いましたね。本作の人魚は人間を食べる怪物でもあるので肉食の魚みたいな下半身なんでしょうか。私には人魚って人間を喰うというより、人間に喰われる側のイメージが強いんですが。本作はかなりリアル系の下半身なんで焼いたらホクホクしてそうですし。



で、ストーリー的には、人魚の姉妹がワルシャワのナイトクラブへやってきて働かせてもらう中で妹が同僚の青年に恋をするものの魚扱いされてしまい、移植手術で人間になろうとするが…という感じの悲恋ものと言いますか、たぶん童話の人魚姫を現代風にアレンジしたであろうものです。現代風といっても80年代のポーランドですが。私的にはポーランドと言われてもソ連とドイツに酷い目に遭わされた元共産主義国家、ぐらいの貧困なイメージしかないせいで理解できなかった部分も多々あります。

それでいて、ファンタジー&ミュージカル仕立ての映画なので、そもそもなんで人魚が陸に上がってわざわざいかがわしいナイトクラブで働こうとしてるのかとか、人間がそれを不思議がらないで受け入れるのか、とかその辺の疑問はよく分からないまま話が進みます。ちなみにストリップで稼いでいるナイトクラブなので盛んに女体が画面に映りますが、下品な感じは全くなく芸術性を強く感じさせる映し方でした。そこら辺はいかにも芸術家肌の女性監督の仕事っぽかったです。


で、妹が人間の男に恋をしてイチャイチャしてるかと思えば突然「君はぼくにとって魚なんだ」という残酷(?)なセリフを吐かれたりするんですが、ということはそれまでのイチャイチャぶりは彼にとって熱帯魚を愛でるのと同じような行為だったんでしょうか。実に難解な話です。そして魚扱いされてしまった人魚(妹)は怪しい闇医者に行って人間の女と下半身を入れ替える手術を行うんですが…。

ここ、ミュージカルだからって歌ってごまかしてますが、スゲエ怖いです。電気ノコギリでチュィィーンゴリゴリと下半身切断…エグイわあ。てか、死ぬでしょう。そんな手術、ブラックジャックでも多分無理です。神経とか腸とか色々繋がらんと思うし。というか、交換に応じてくれた女は一体何者なんですかね。もしかして無理強いしたのでは…それともそんなこと気にしちゃいけないんでしょうか。


で、ラストなんですが、予想通りの範囲に収まるかと思いきや、
「えっ!殺しちゃうの!?」
という感想です。
異種族間の悲恋話ではなく、姉妹愛がテーマの話だったということでいいんでしょうか。だとしても殺さんでもいいだろと思ってしまいましたが…実に難解な話ですね。


ということで私は本作を理解できたとは言えないんですが、相当奇怪な映画であったことは確かであり、人喰いモンスターホラーでもあり、表面的に観ているだけでもそれなりに楽しめました。(少なくとも「黒人魚」よりは)





コメント

1. 【映画観賞】ゆれる人魚

ワハハハハ〜ッ!ご覧になって頂きましたか〜(笑)!ありがとうございます!

感想を拝読しましたが、好事家さんには微妙な作品だった様ですね(笑)。お勧めしておきながら、ご期待に添えられなくて申し訳ございませんでしたσ^_^;。

私も初見の際は、初めて人魚を目の当たりにしても あっさりと受け入れてしまう鷹揚(笑)な国民性や、モグリの闇医者もビックリの粗雑な移植手術シーンには、「んな、アホな…。」と思ったりもしました。

しかし、それを補って余りある程に、主役の女の子たちが魅力的だった事と、ラストの切なく残酷な幕切れに 心を奪われてしまいました。音楽も個人的には なかなかのお気に入りです。サントラも買っちゃいました(笑)。

ところで、好事家さんはミュージカル映画は好みではなかったのですね。私は特に抵抗無く楽しめるクチなので、其処迄の配慮が足りませんでした。推薦の際に、その辺りの事を断っておけば良かったですね。

しかしながら、私如きの推薦映画をわざわざご覧頂き、本当に感謝致します。好事家さんの感想を嬉々として拝読させて頂きました。流石の文章力ですね!感動しました!ありがとうございます。

Re:【映画観賞】ゆれる人魚

いえいえとんでもない。
確かに恋愛ミュージカル映画は苦手な部類ですが、とはいえ普段似たような映画ばかり観すぎてますから、たまには人のお勧めで新鮮な刺激を受けることも必要かなと思います。マンネリが過ぎるとブログ運営も飽きてきますからね。尺さえ100分以内であれば、配慮とか気にせず何かいいのがあればまた教えてください。

しかし普段はB級~Z級ばかり観ていますから、この作品は苦手なジャンルなのを差し引いても、このブログの中でも上位3割に入るくらいには楽しめたような気がします。全然眠くなりませんでしたしね。

問題はちゃんと理解できてないんじゃないかな~という点でして、まあ批評ブログじゃなくて感想ブログだから別にいいかと開き直り気味ではありますが、的外れなことを言って怒られやしないかという気掛かりはありました。ラストはまあ、後でゆっくり反芻したら納得しましたが、最初は「これだから女ってやつは理不尽だよ!」なんて憤りを感じてましたからね。元はと言えば悪いのは男の方なんですけどね。


2. お返事ありがとうございます。

いえいえ、ちゃんと理解していらっしゃると思いますよ(上から発言 (^.^)、)。好事家さんの実に的を得た感想には、私も膝を打っていました。

個人的には、海外映画って、概ね説明不足なシーンが結構多い様に感じます。それはその国のお国柄なのか、単純に監督の狙いなのかは解りませんが…。

しかし、私はそういう部分が結構好きなんです。「行間を読む」ではないですが、例えば、しっかりとした展開のあるストーリーの中で、要所要所 不自然な場面に観客が気がついても、其処は観る者に判断を委ねて、敢えてスルーする…、などの展開は 脳トレ見たいで好きなんです。

ただ、デヴィット・リンチ監督の様に、最初から最後まで 説明不足な作品や、「ジュラシック・エクスペディション」の様に、肝心な物語のラストを 観客の判断に委ねる(笑)作品は大っ嫌いですけど!

この「ゆれる人魚」は、その点では好感の持てる作品でした。けったいな映画である事には変わりはないんですけどね(苦笑)。でも、私にとっては心に残る面白い作品でした。

これからも好事家さんの映画感想を楽しみにしています。このブログが息の長い、楽しいサイトであれます様、心より応援申し上げます(上から発言 (^.^)、)。

Re:お返事ありがとうございます。

そうですね、この映画だと男の心変わりが全く何の説明も無くやけにスピーディなのでちょっと戸惑いました。彼が下半身を移植して間もない人魚と致そうとした時に「え!?もう!?」とその性急さに恐怖を覚えましたが、案の定無理だったので「傷が治るまで待てよ」と思ったのですが、そこからの乗り換えの速さがどう行間を読んでも非情に思えてきまして。まあ、そんな男のために泡になってしまった妹を思うと、姉の行動も仕方がないですね。合う合わないはともかく、心に残る映画なのは間違いないと思います。


しかし「ジュラシック・エクスペディション」までご覧になっていたとは驚きですね。アレは観客に委ねるとかそういうレベルじゃなくて、幼児がプラモデルを作ろうとしたらグチャグチャの訳が分からない物体に仕上がってしまい、放り投げてぶっ壊したようなもんだと思います。まあ、ひどい映画もあそこまで突き抜けたひどさを持っていればブログ的には書きやすくて良かったりするんですけどね。ああいう大ハズレを引いた経験も無駄にしないようにと始めてみたブログですから…

3. Re:お返事ありがとうございます。

「ジュラシック・エクスペディション」、あれは確かに酷かった(苦笑)。

でもね、ジャケットはとても魅力的な出来栄えでしたよ。「ジャケ借り」派の私としては、見過ごす事のできない素晴らしいジャケットでした。燦然と光り輝いていました。

結果、「ジャケ詐欺」に会っちゃったんですけど…(笑)。

Re:Re:お返事ありがとうございます。

そういやあのジャケットは本編に存在しない要素だけで描かれてましたが、デザインした人はゼロから描いてるんですかねえ…

4. Re:お返事ありがとうございます。

さぁ…、どうでしょう(笑)?…でも、例えば、タイトルやジャケット裏のあらすじにはドンピシャのデザインってあるじゃないですか?

もしかしたら、その映画製作の企画段階(スポンサーに資金を出してもらう会議)などで、企画書と一緒に 「超拡大解釈」したイメージ画を提出しているのかも知れませんね。それがそのままジャケット画になってしまった。

ところが、作り手側の技術、センス、費用、人手などなど、映画製作に関わるあらゆる偏差値が低すぎて、ジャケットとは似ても似つかぬ作品ができてしまっちゃった…、なんて仮説もあるんじゃないですかね(笑)?

Re:Re:お返事ありがとうございます。

映画が作られる前からジャケット用の絵は出来てるってのはありそうですね。しかしあれだけイカすイメージ絵を作れる有能な企画者がいたとすると、あそこまで本編が腐り果てて蛆が湧いたバラバラ死体の如き惨状になるとは考えにくい気がします。やはりジャケットデザインは外部に委託している可能性が高いのかなと…

そもそも日本版のジャケって本国のをそのまま持ってくることってあんまりないような印象があって、基本的に日本の配給会社が独自にデザインしてると思ってるんですが(その結果ジャケット詐欺が生まれる)、ジュラシック・エクスペディションに関してはどっちだかよく分からないんですよね。本国用のデザインは別に存在するようだけど、IMDbを見ると日本版と同じのが載ってるし。こうして考えるとジャケ詐欺の世界も謎に満ちていて面白いですね。いや、本来は糾弾すべきことなんでしょうけど。

プロフィール

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岩石入道
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男性
自己紹介:
B級~Z級映画が主食。ホラー、モンスターパニック系が特に好き。目についたサメ映画全てチェックしたい
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