製作:2018年アメリカ
発売:プライムウェーブ
独立記念日、ワシントン上空に現れた巨大宇宙船にホワイトハウスを破壊される。何とかヘリで逃げ出した大統領だったが敵に追われ墜落し、爆発炎上。たまたま居合わせた少年ルークとその家族に助けられた大統領は、人類を救うためエイリアンへと花火で戦いを挑む。
「世界侵略:ロサンゼルス決戦」…は公開当時劇場で鑑賞しましたが、あまりに露骨すぎるアメリカ軍万歳プロパガンダ臭を除けばなかなか面白いSFアクション大作映画でしたね。とはいえ、8年も経ってからパチモンを出すのはいくらなんでも遅すぎるのではないかと思います。今更誰も騙されんでしょう。
というか、独立記念日がどうのこうのと言っているので普通にインデペンデンス・デイのパチモン(アサイラム謹製)です。なぜこれを毎年恒例の
「インデペンデンス・デイ2019」という邦題にせずあえて賞味期限の切れた「ロサンゼルス決戦」の便乗作にしたのか。プライムウェーブの考えることは全くわけが分かりません。
で、本作の出来栄えですが、これはもう「いつものアサイラム・クオリティ」の一言で済んでしまうと言わざるを得ません。もう少しだけ具体的に言うならば、
「
エイリアン:スカイコマンド」
と全く同じぐらいの面白さです。ノリが似てます。「スカイコマンド」を観たのがだいぶ前なのでうろ覚えですが、舞台となる山も全く同じ場所である気がします。人類とエイリアン軍の決戦を謳うにも関わらず、登場人物は大統領と軍人1人とあとは民間人の家族だけという壮絶なスケールの小ささもいつも通り。エキストラすらも出せないからこその誰もいない山が舞台というわけです。
そんなマイナーなアサイラム過去作に想いを馳せながら鑑賞していると、まさにその「スカイコマンド」をテレビで観ているエイリアンが出てきてマニアを喜ばせてくれます。アサイラムのこういうファンサービスは嫌いじゃないですね。あとはもう少しでいいから面白い映画を作って頂ければ…
↑本作にて襲来してくるエイリアンの姿。何か常にボカシがかかってて見辛いのですが、どうもこいつは「
ディストピア2049」に出てきた平和維持者に似ている気がします。使い回しかな。平和維持者と言えばフルアーマーで強そうな外見とは裏腹にフライパンで殴られただけで死ぬような雑魚だった印象が強く、本作のエイリアンもあまりいい予感がしません。
と思っていたら案の定というか何というか本作のエイリアンも死ぬほど弱かった。
ビームガンのような武器を持っているのに全然撃って来ないし、撃っても100%外すし、揚げ句の果てにはなんと民間人のオバサンが農具でつついただけで死んでしまうという脆弱ぶりを披露。オッサンにバットで殴られただけでも死ぬ。これは平和維持者より断然弱い。
しかもそれだけではなく花火に弱いという変な属性まで付加されており、女の子に花火を投げつけられただけでバタバタ斃れていくという醜態まで晒してくれます。あんな小さい花火じゃ蚊トンボでも死にはせんだろうというね。またその女の子の投げ方も全然やる気が無いのが丸分かりで脱力すること請け合いです。
「花火は鎧を貫通する!」「奴らに遭遇した時に備えて花火が必要だ!」絵面もセリフもアレすぎます。
もうちょっとましな弱点はなかったのか。
弱点というかなにで攻撃しても一撃で倒せているので弱点を突く意味なんかないのでは…
そんな最弱エイリアンの目的は
「銀河を支配する力を持った宇宙一強力な兵器を収納したブリーフケース」
という途方もないスケール感を伴うものでしたが、
いつの間にやらただの爆弾扱いされ、しかもいざ爆発させても別にそこまでの威力でもないという微妙さで終わり。
まあ、いつも通りです。
いつも変わらぬB級映画製造機アサイラムのチープなクオリティを求める人はどうぞご覧ください。