製作:2018年アメリカ
発売:アルバトロス
ペンシルバニア州の小さな町サマートンは地域経済の停滞に悩んでいた。このままでは再選が危ういと考えた市長は、閉鎖された精神病院にオバケ屋敷を作って町の経済を潤そうと考える。有名ホラー映画監督を招き、満を持してオープンしたオバケ屋敷に、しかし本物のサイコ殺人鬼が紛れ込んでしまう。
リブート版「
ハロウィン」に便乗すべくアルバトロスが送り込んできた刺客。かなり本気で偽装してきてるので騙されてしまう人も多いかと思いますが、当然のようにハロウィンのハの字も出てこないしサイコ殺人鬼のビジュアルはマイケル・マイヤーズというよりレザーフェイスに近い雰囲気です。
パチモンにされたB級ホラーにしてはそこそこ悪くない出来だとは思いますが、さすがに詐欺臭すぎて本家ハロウィンのファンとしてはちょっと複雑な気分。本家と何の関係も無いと分かって観る分にはそこそこ暇つぶしにはなるくらいの面白味があるだけにもったいない。
「ホラーイベントを開催したら、本物のサイコ殺人鬼が紛れ込んでしまった」
というプロット自体は、それはもう親の顔より多く観てるくらいよくある話なんですが、それでも本作の導入部はなかなかいかしてます。
地域経済の停滞に悩み、何か打開策はないかと考え込むフラワー市長。このままでは再選が危うい。何としても地域経済の活性化に繋がるような素晴らしい案を出さなくてはならない…!
見るからにインテリジェンス漂う風貌のフラワー市長が導き出した結論とは!?
「そうだ!オバケ屋敷を精神病院で開催して市民を楽しませよう!」何つうユニークな発想。さすが自由の国。
しかしこんな大して誰も見てないマイナーな映画じゃなかったら炎上してもおかしくないセリフです。
まあ閉鎖された病院だから大丈夫か。
↑おばけ屋敷ひとつで好景気が再来する町とは!? よっぽど何もしてなかったのか? ホラーマニアしか住んでない町なのか?
いや、市長が悩んでるんだから町だけじゃなくて市全体の景気に関わるくらいのビッグプロジェクトということですよね。
まあ、町おこしのお祭りとか海水浴場の運営に血道を上げる市長は観慣れてますが、さすがにオバケ屋敷ひとつで地域経済をどうにかしようとする市長は初めてです。ホラー映画やモンスター映画を長年観ていると市長だの町長だのといった定番横暴キャラクターのあらゆるパターンを見尽してしまっているのでたまにこういう変わり種が出てくるとうれしくてしょうがないです。
レア・市長が私の脳内コレクションにまた1人加わりました。
が、しかし…!
↑そんな市長肝いりのお化け屋敷オープニングセレモニーで、自らデモンストレーションに買って出た市長が…
紛れ込んだサイコ殺人鬼によってあえなく死亡。
まだ前半なのに。なぜこういうおいしいキャラをさっさと殺してしまうのか?実にもったいない。
それでも「市民を失望させるくらいなら喜んで死ぬ」とはなんと崇高な志を持った市長であったことか。死に方も死に際のセリフまでもレアな市長だった。重ね重ね惜しい人を失くした…
というわけで、ハロウィンのことを忘れて期待せず観る分にはボチボチ楽しめると思いますのでまあそれなりにオススメ出来ないこともないです。市長コレクターの方はぜひご覧ください。