クローン研究によって蘇ったサーベルタイガーを売り物にした、孤島のテーマパーク。
大儲けできるはずだった…ボンクラ学生共にセキュリティを破壊されるまでは…。
という感じのトラパニック映画です。
ジュラシックパークの恐竜をサーベルタイガーに置き換えたような設定ですね。
百万年ぶりの餌は、人間だった…という煽り文句やサブタイトルがとてもいい味を出しています。
こういう映画はストーリーなんてどうでもよく、サーベルタイガーが人間を襲うシーンのみが見どころ…と言いたいところなんですが、本作はサーベルタイガーの出番がかなり少ないです。
なので、それ以外のところにも何かしらの面白味を見出す努力が必要となってきます。
たとえばサーベルタイガーパークの警備システム画面があまりにもチープすぎるとか。
右端の青と赤のゲージを見ると仮装大賞の審査みたいで味があります。
警備システムに負けず劣らず警備員のポンコツぶりも相当凄い。
一応サバンナとブライアンという警備員カップルが主役と思われるのですが…
警備そっちのけでイチャイチャしてたかと思えば、付き合った男が全て地獄に送り込まれる呪いの凶眼を持っているだの何だのと奇怪な痴話喧嘩で尺を稼いできます。
別に何の伏線でも暗喩でもないただの無駄話ですが、ある意味退屈はしません。
サーベルタイガー博物館(?)のオブジェのクオリティも素晴らしい。
しかもこれが衝撃のラストシーンでの伏線になっていようとは、想像できませんでした。
そしてモンスターパニック映画には欠かせない食材であるボンクラ大学生グループがオープン前の博物館に忍び込むのですが、そのボンクラぶりが本当に凄まじい。
綿アメマシンやホラ貝をかっぱらうという意味不明のゲームのためにわざわざ不法侵入したうえにセキュリティを崩壊させてしまうというヤンチャ集団。
警備員はイチャイチャ中だわパスワードはホテル名だわでアホとボンクラが絡み合った結果サーベルタイガーが解放されてしまうというバカ展開。
マトリックスみたいな背景にデカデカと「システム崩壊」とかなりの味わい深さを見せてくれる警備システム。
ちなみにナイルズとはサーベルタイガーパークのオーナーで、「ジョーズ」のアミティ市長的な役回りを担っている嫌な男として描かれます。
しかし本作を観ているとトラブルの元凶は100%無能警備員とボンクラ学生共なのでむしろナイルズには同情したくなってきます。
さらにナイルズとそれ以上に鼻持ちならない投資家セレブ(?)との嫌味合戦もボリューム満点で水増しに一役買っていますが、あんまりにも嫌味な会話すぎてこれもまたある意味退屈はしなくて済むクオリティとなっています。
中盤を過ぎてようやく姿を見せてくれたサーベルタイガー。
CGのクオリティは、うーん…微妙…と唸ってしまいたくなるレベルだし、
暗い室内でわざと見辛くすることでごまかそうとしているのが気になります。
ただ、襲撃シーンそのものは景気よく首チョンパしたり手足が飛んだり内臓が飛び出たり血糊が過剰にドバドバ出たりとそれなりにサービス精神旺盛なので楽しめないこともないでしょう。
しかしサーベルタイガーと言っても、ただキバと図体がデカイだけのトラなので、今一つ地味です。いや実物のトラを使っていた「
バーニング・ブライト」のように、ただのトラでもやりようによってはいくらでも面白く出来る余地はあると思いますが、本作はそういう方向性ではなくラスボスとして「1トンの超巨大サーベルタイガー」を出してきます。
…が、なぜか「下半身がゼリー状なので動きが鈍い」という奇怪すぎる特徴を持たせており、結局のところいくらデカくてもただのザコにしか見えませんでした。
博物館の出入り口に体当たりする超巨大サーベルタイガー。
するとあの凄いCGのタイガーオブジェのキバがグラグラ揺れ出して…。
これが本作最大のクライマックス的見せ場かつ衝撃のラストです。
本作の全てはこの瞬間のためにあったと言っても過言ではない…
私はてっきり勢いよく飛び出した超巨大サーベルタイガーの頭に
落っこちてくるのかと思って観てたんですがね。
つーかこの人よりもボンクラ学生に天誅を下してほしかったところです。
元はと言えば奴らが綿アメマシンのボウルを盗むためにセキュリティ解除したのが悪いんだから…。いやそれにしてもモンスターパニックの切っ掛けとしてはおかしすぎるネタでした。
ということで、特にオススメはしませんがB級と言える程度のクオリティは充分あるので暇つぶしにはなりました。一応上のシーンの後にもまだ味のあるオチが用意されているので、暇な人はご覧になってみてもよろしいかと思います。