シン・ゴジラのパロディチックな邦題ですが、
私はシン・ゴジラを観ていないので中身にゴジラネタがあるかどうかはわかりません。
まあ何もないとは思いますけど。
原題は単に「アトミック・シャーク」みたいです。
これだと一気につまらなそうなタイトルになりますね。
そういえば10年ぐらい前に「生体兵器アトミックジョーズ」というDVDをワゴンセールで見かけたので買ってありますがまだ未開封だなあ…
ともかく今作はサメ×原子力の組み合わせですが、最近のサメ映画の発想としてはいささか凡庸なのではないかという気がします。
邦題でインパクトを出したのは大正解と言えるでしょうが、果たして中身の方はどうだったのでしょうか。
この手のC級映画って下手すると「2010年代の作品なのに1980年代制作のように見える」という現象が多々起こりますが、このシン・ジョーズはドローンを活用しまくることによってその難点を見事回避しています。
主人公は足を怪我しているライフガードなのですが、
ドローンで浮き輪を運んだりカメラやガイガーカウンターを取り付けてサメを探したりしますし、他にも水着姿の女性を盗撮する奴もいますし、撒き餌を使ってオトリ役をやらせたりもします。
これまでのサメ映画では見たことないネタばかりです。文明の進歩を実感できますね。
あと、SNSで自己顕示欲と金儲けに取りつかれている人々もたくさん出てきますので、最近の世相を十二分に反映しておりほどよく風刺が利いていると言えましょう。
と言っても別にそんな小道具はどうでもよいのですが、
本作、サメ映画としてはなかなか良い出来と言えます。
基本的にコメディ映画として作ってあるのですが不覚にも笑いが漏れてしまったシーンがいくつかありました。
核爆弾とか放射能ネタのギャグで笑ってしまうというのは、
唯一の核被爆国である日本の国民としてはいささか不謹慎な話ですが。
ただ、サメ映画としては平均以上の出来と言っても、
サメのCG自体はかなりショボイ部類です。
人が食われるシーンも相当適当に処理されており物足りなさは否めません。
ロストジョーズよりはマシですが。
シン・ジョーズの正体は「海底に沈んだソ連の原子力潜水艦によって放射能汚染されたサメ」とのことですが、こいつは常に燃えており、海水で冷やしてないと不安定になって核爆発を起こしてしまうらしいです。
らしいですっていうかネタとしてもひどいですね。
まあ、爆発オチのためには仕方ないと考えてください。
海中でも常に燃えているため、魚が焼けて浜辺に打ち上げられるという現象が多発。
で、それを近くのレストランがそのまま焼き魚として出してたりするんですが、
食べた人が真っ赤になって膨らんで爆発します。
アメリカ人的には、生き物が放射能を取り入れたら爆弾化してしまうようです。アホすぎて笑ってしまいましたが真に受けるアメリカ人がいるかもしれないと考えるとちょっと嫌ですね。
他にもサメの体液?をちょっと浴びただけで人体爆裂したり、
サメが軍に攻撃されたら核爆発が起こって辺り一帯全滅するわ!とか言ったり、
核爆弾化したサメで遊びまくりです。
ただ全体的にマッタリしていてテンポが良くないので、普通の人は不謹慎だ何だと怒る前にまず眠たくなってしまうとは思いますが。
とはいえ、他にも、ライフガードのリーダーが変な武器でサメと一騎打ちをするシーンとか、
撒き餌をしたら数千匹ものサメが寄って来たりとか、ヒロインが海中でサメに突撃したりとか、見どころはわりと多い方なのでサメ映画好きな人なら間違いなく楽しめることでしょう。
主人公も、嫌な奴にも明るく絡むノリの良いナイスガイなので観ていて気持ちいいキャラでした。
サメ映画好きにはオススメです。
あくまでサメ映画好きな人にだけですよ。