製作:2018年ロシア
発売:インターフィルム
かつてロシアの国家的プロジェクトだった未来を映すカメラ。しかしそれは生き物を撮影すると被写体の死に様が現像され、数分後に必ず現実となってしまう恐ろしいカメラだった。
そして数十年後、人里離れた怪しい民家に迷い込んだ若者グループによってそのカメラが発見されてしまう。
珍しいロシア産のふざけたB級ホラー映画。
一見ロシアっぽく寒々しく重苦しい雰囲気が漂っているようですが、内容は荒唐無稽で馬鹿馬鹿しいことこの上なし。
別荘で合コンパーティしようとしていた若者グループが見つけた「撮影されると死ぬカメラ」。一人目が犠牲になった段階でこのカメラは危険だ!と分かったんだから処分するなりレンズを覆うなりしとけばいいものを何だかんだと撮りまくることになる流れが突っ込みどころ満載です。とはいえつまらないわけではなく「ファイナル・デスティネーション」系のホラーが嫌いでなければほどほどのスプラッター加減で尺も短く気軽に楽しめます。
「シャッター 写ると最期」なんてタイトルだとオカルト物を想像してしまいますが、意外にも時空連続体がどうのこうのというすこしふしぎ的な理由付けのカメラでした。どうでもいいけどこんなくそまじめな邦題じゃなくても「写るんDEATH」とかでも良かったのに。まあそれはどうでもいいんですが、とにかく撮影されると数分後に死ぬことは100%決まっているらしく、「ファイナル・デスティネーション」と似ているとは言いましたがあれと違ってどうすれば死の運命を回避できるのか!?というスリルやサスペンスは全くありません。
いや、本当は回避する方法もあるのかもしれませんが、登場人物の知能が致命的に足りてないためまともな対策を講じる様子が一切無いので不明なままでした。こうなるとこのカメラはもはや単なる「武器」でしかないような感じになってきます。これはもったいない話です。せっかくの「撮ると死ぬカメラ」もこれでは銃を人に向けて引き金を引いてるのとあまり変わらないと言うか…。どう死ぬか分かりやすく写真で予言してくれるんだから何とかして避けようとするのが普通だと思うんですが、本作の被写体はどいつもこいつもパニクるばかりで自分の写真をろくに観ようとしません。見るのが怖いのは分かるけどさ。
こうなると、あとはどんな面白い死に様を晒してくれるのかということだけです。ただトップバッターのすっ転んで首をトラバサミは挟まれた奴はなかなかでしたが、後続がそれを超えられなかったのはガッカリでしたね。毒グモが口に入った奴は普通反射的に吐き出すんじゃないかなと思うし、鹿の角のはく製に突進した奴はマヌケすぎるし。死に様だけでなくウッカリ撮影してしまうのもマヌケなので二重にマヌケということになってしまいとにかく間の抜けたロシア人ばっかりだなあと思ってしまう映画です。
その極め付けと言えるのがラストシーンで、数人が無残に死んでる現場にやってきた警官たちがにこやかにあることをしようとします。普通事件現場でやるとは思えなさすぎる奇行です。それもシリアスな空気のままやろうとするのが面白い。ロシア人が笑いを取りに来るとこうなるのか。逆にアメリカ人には真似できない素晴らしいオチと言えるかもしれません。
ということで、「
デス・レター」よりはオススメできるロシア製ホラーでした。