製作:2018年カナダ
発売:アメイジングD.C.
2020年、宇宙から凶悪な昆虫型エイリアンが地球に飛来し、人間に寄生。そいつは人から人へ乗り移ることができるのだった。それを追って善玉エイリアン(グレイ型)も地球にやって来て美女を誘拐し、乗り移る。人間の姿をしたエイリアン同士の戦いが始まるのであった。
自主製作の映画にしては良く出来ているんじゃないかなという感じの超絶低予算SFアクションムービーです。原題は「GRAY MATTER」…いまどきグレイ型宇宙人。メチャクチャ古臭い。小道具もブラウン管とか黒電話とか出てくるもんだからマジで90年代の映画なのかと疑ったぐらいです。
しかしなぜこういう自主製作映画が何の目印もなく商業映画に混じってDVDリリースされているのでしょうか。クレーム付ける人がいるんじゃないかと心配になってきます。
それにしてもアメイジングD.C.はいかほどのコストでコレを輸入してわざわざ吹き替えまでしてレンタル屋に売りつけているのか?
一体何人ぐらいが借りているものなのか?
元は取れているのか?
そんなことは知る由もありませんが、それでも「
プレデター・プラネット」に比べれば100000000億倍くらいは楽しめるSFアクション映画です。製作費は多分同じくらいなのにね。
設定は善と悪の寄生型エイリアンが共に人間を乗っ取って地球で迷惑な戦いを繰り広げる…ということで、「ヒドゥン」に酷似しているというか多分オマージュ的なやつ。ただクオリティはミジンコと太陽系ぐらいの差がありますが。
しかも本作、メイン登場人物がエイリアンのみなので全編通してセリフがほとんどありません。これはこれでユニークだなあと感心しなくもないんですけど、終始無言で無表情の人間が鬼ごっこ&時々格闘してるだけっていう。異常にシンプル極まりなさ過ぎる。ヒドゥンみたいに普通にしゃべれる設定にしといた方が良かったのでは…
つーか吹き替えで観たけどセリフがなさすぎて吹き替えの存在意義が分からんかった。
↑あの悪夢的珍作「グレムリン2017」を彷彿とさせてしまう造形の寄生型エイリアン(悪玉)。
1964年に卵が飛んできて、それをボンクラ中学生4人組が発見するとか、何となく人間ドラマを作りそうな雰囲気を出しつつも見事に全部スルーしていきます。つかみどころがない。こんな変な感覚の映画は今までにないです。なくてもいいんだけど。
ちなみにこれに寄生されると挙動がゾンビのようになり、スーパーで生肉をかじったり警備員の首筋に噛みついたりするようになります。しかし生肉にありつくまでのくだりが長すぎて驚きましたね。セリフもろくにないし序盤30分は何の映画なんだか全然分からんでしょう。
そして戦闘時はマウントをとってからの右パンチ連打というスタイルをなぜか徹底して貫きます。合理的っちゃ合理的かもしれんけどそんな毎回同じことやらんでも。
↑そんな悪玉エイリアンを追う善玉エイリアンはロックバスター的な武器を右腕に装着。特に刑事と組んだりすることもなくひたすら無言で悪玉を追いかける。そんな強力な武器を持ってるのに毎回マウントとられてボコられる。さっさと撃たんか。はた目には普通以下の人間同士の喧嘩にしか見えないのに、速攻でSWAT的な部隊がやってくるのがちょっと笑えます。やって来るだけで何も絡まないけど。
まあ、そんな感じで悲しくなるくらい極貧すぎて決して誰にもオススメできるような映画ではありません。またこんなのに新作料金払っちゃったよと自己嫌悪で崩れ落ちました。いくら私が物好きでも限度がありますよ。
が、その努力とか真面目さだけはあまりムゲにもできない…かなあ…。「ヒドゥン」が好きで好きでしょうがない人はもしかしたら観てもいいかもしれません。