製作:2016年アメリカ
発売:ブロードメディア・スタジオ
刑務所上がりのジェイは、兄やその恋人たちと共にデスバレーの砂漠で行われる音楽フェスへ向かっていた。しかし乗っていた車が故障。目的地が同じだった別の若者グループの車に同乗させてもらうがそれも故障。砂漠のど真ん中で迷子になってしまった彼らをガラガラヘビや砂嵐が襲ってくる。
砂漠の砂嵐がメインのディザスター映画かと思いきや、非常にポエミーでマッタリとしたヒューマンドラマ的な趣の何かでした。テーマは「若気の至り」か?
確かにクライマックスでデザート・ストームが発生はするものの、あまりにもアッという間に通り過ぎてしまってさすがにビックリ。1分もなかったんじゃないか。毎度のこととはいえ誇大広告を超越しすぎたジャケットと言えます。
馬鹿な若者グループが大自然の脅威をナメてしまったために遭難し、一人また一人と命を落としていく…
という映画は珍しくありません。ありませんが、本作の主役若者グループの馬鹿さ加減は相当ハイレベル。なまじ映画の雰囲気が淡々としており、雄大な自然の風景が格調高く映し出されるだけに余計それが際立ちます。
まずフェスへ行く途中で車が故障し、行き先が同じキャンピングカーに乗せてもらったはいいが四輪駆動車でなければ通れない道を走ってハマってしまい、そこで一夜を明かす羽目に…というところまではいいです。
しかし、そこで夜営中にライトを使った影絵遊びに興じたためにバッテリーが完全に死んでしまった…というのはバカとかいうレベルじゃなくないですかね。よりによって影絵って…小学生か? せめてエンジンぐらいかけてやんなさいよと。これでは「
ザ・サンド」のバカ共をさらに下回る知能と言わざるを得ません。
さらに、たき火を囲んでペヨーテとかいう幻覚剤を回し飲みしてたら一人が過剰摂取でまさかの死亡。アメリカ人的にはよくある事故なんでしょうか。見知らぬ人と簡単に意気投合するまではありそうだが、怪しい薬まで無警戒に回し飲みするのものなのか。ペヨーテって何だ。そんなあっさり死ぬようなモンなのか。
砂漠のど真ん中で車が使えなくなってしまい、方角も分からず完全に遭難してしまった若者グループ。重い過去を語ったり仲間割れしながらダラダラと砂漠を徘徊します。デスバレーなんだから気候的にキツイんじゃないかという気がするんですが、全然快適そうな雰囲気で結構な違和感。
途中で語られる主人公ジェイの持つ過去が親殺しと本当に重たく、しかもストーリー上特に何の意味もない。しいて言えば大自然の脅威の前では人間の悩みなど些事であるといいたいのか。
人間ドラマがあるようでいて実は何もないような感じ。正直言って空虚です。
あとはいかに面白い死に様を見せてくれるかという点に期待するしかないのですが、そこはまあまあ…かな?
茂みで放尿中にガラガラヘビに噛まれて死ぬ奴もいれば、
岩陰で放尿してたら仲間とはぐれてしまい砂嵐に巻き込まれて死ぬ奴がいるなど、砂漠での放尿がいかに危険かを教えて頂けます。ヘビの姿は映らんけど。
↑時間配分的にはクライマックスで出現する巨大砂嵐。逃げ遅れてヤケクソになってる若者の図ですが、彼はノーダメ。案外大した威力でもなかった。ただ前述のように花摘みではぐれた女の子は普通に死んでしまいます。個人差が激しい。何にせよ嵐は速攻で通り過ぎてしまうので、邦題のわりにクライマックスどころか見どころの一つとすら言えない残念さでした。
…と言う感じなので、クソ映画とまではいかないまでもあんまりおもしろい映画とは言えません。主演はミーシャ・バートンでしたが、なんかわざとダメな映画を選んで出ているのではないかという気さえしてきます。まあそれでも「若者が自滅する系の映画」が好きな人ならヒマつぶしにはなるかもしれません。