製作:2015年アメリカ
発売:彩プロ
夜中に砂浜でビーチパーティに興じていたアホな若者グループ。しかし夜が明けると、車や監視塔で寝ていた数人を除いて全員が消えていた。そのうち一人が砂浜に立つと、肉体が崩壊し砂の中に引きずり込まれてしまう。なんと砂の中から正体不明の怪物が襲ってきているのだった。
砂に触れてはいけない…ということで、バッテリー切れのオープンカーの上や監視塔でひたすらキャーキャー騒ぐソリッドシチュエーション系のクリーチャーホラー。
何となくスティーブン・キングの「浮き台」を連想しなくもないが、そこまで出来が良いわけもなく。砂中を泳ぐサメを描いた「ビーチ・シャーク」から笑いを取ったような感じでした。
タイトルが「ザ・サンド」(原題もThe sand)なので砂そのものが生き物のように襲ってくるのかと思ったら、糸状の触手がウネウネ出てきて引きずり込んでゆく。なんか普通にビーチシャーク的なモンスターが砂の中にいるという話です。
というかクラゲっぽい。「ビーチ・ジェリーフィッシュ」の方が良くはないかな。語感が悪いか。
それはともかく、触手モンスターの出自や正体をほとんど一切不明で貫き通しているのが困ります。アホ学生が怪しいタマゴを持ってきただけっていう…。一体どこで見つけて何で持ってきたのか。酔っぱらいは何でもありか。安直でも推測でも何でもいいからモンスターの出自は欠かしてほしくないんですよね。例えて言うなら、原材料が何なのか表示されていない駄菓子を食しているかのような物足りなさがあるんです。
↑本作を一言で表現するならば正にこれ。自分で言っちゃってる。
そもそも夜通しビーチパーティなんかするような学生が頭悪くないわけがない。
サーフボード2つを使って移動するのは良いが、なんで海の方へ行くのか?
スマホで助けを呼べばいいだけなのに、中盤までそれをしようとしない。ふつう真っ先にやるだろそれは。
スマホは乗ってる車のトランクにあるんですけど、開けるのに異常に苦戦しまくります。一体何がそんなに難しいのか。わからん。
しかも、そこが本作のメインなのかと思えてくるほどこのミッションに時間がとられます。
トランク開けるだけなのに。死を覚悟して遺書まで書いてます。痴話喧嘩もします。そしてようやっとトランクを開けても結局スマホは取り出せない。何で取れないんだ。全くわからん。今までに浪費した労力と時間は一体何だったのか。
そもそもライトつけっばで寝てなければ普通に運転して脱出できてたっていうのがね…。
砂に触れると殺されてしまうが、靴を履いていれば平気。
素肌さえ触れなければセーフ。
なので、足にタオルを巻いてもしばらく大丈夫。
サーフボードやゴムボートの上に乗っても大丈夫。
意外とぬるい判定。いや、ぬるすぎます。砂浜にいるだけで危険なビーチシャークより圧倒的に優しい。そんなんでいいなら別にどうとでもなりそうに見えるのに、どいつもこいつも無様にコロコロひっくり返って死んでいきます。まあ殺され役が多いに越したことはないし、捕食シーンは安いなりに頑張ってはいますが…。
そんな感じでヘボいゴア描写しか楽しみがないC級映画というのは否定できないんですが、最後まで生き残るメンバーがかなり意外な人選でして、そこは素直に感心しました。この手のホラーでこういうパターンの生存者は初めて見たかもしれない。ということで、誰が生き残るかを予想しながら鑑賞すると少しは楽しめるかもしれません。
とはいえビーチシャークの方がずっと面白いと思うので「砂の中から怪物が襲ってくる系」などという超ニッチな映画を求めている方にはそちらの方をオススメしておきます。
点数をつけるなら本作は17点ぐらいですがビーチシャークは24点ぐらいありますからね。