「ワニに餌付けしていた老婆が喰われて数年後、今度は甥の一家がやってきて、幼い子供がワニに餌付けをしたら大きく育ってしまい…」
という、ワニに餌付けしたくなる血筋の一族を描いたシリーズの3作目です。
ほとんど無味無臭と言ってもいいぐらい味気なかった2作目から一転、
3作目は登場人物のほとんどを自分勝手なクソ野郎で固めることにより、
彼らの畜生行為を眺めては笑い、バクバク喰われる様を眺めては笑うという
楽しみ方が出来るように改良されておりました。
ただしワニのCGは前作並み。
「湖でこっそりワニを育てる」という迷惑行為を働くのがこのシリーズで一貫している
悪人ですが、今まではちゃんと報いを受けています。
が、本作ではその役割が小学生の男の子です。
共働きの両親にかまってもらえず友達もいないから寂しかったんだ…
という事情を涙ながらに吐露することで精いっぱい
「仕方ないよね」感を醸し出そうとしていますが、そうはいきません。
とんでもないクソガキです。同情など一切できません。
このクソガキ、いや一家のために善良な市民が一体何人喰われてしまったのか…
そんなクズ一家が主役として活躍するのですからたまりません。
餌付けすると言っても、ワニはかなりの数が出てきます。
小学生にそんな大量のエサ代が用意できるはずもなく、
小さなスーパーマーケットで万引きに走ります。
しかもでかいリュックに目いっぱい詰め込み、さらにフトコロにも詰められるだけ詰めるという畜生ぶり。さすがに見つかってしまいますが、それをとがめる店主のセリフはなかなか気が利いています。
「お前は太り過ぎている 2分前からな」またそれを聞いた両親も「金を払えばいいですよね?」みたいな態度で
モンペの気があったり。
この畜生一家に加え、湖に遊びに来た大学生グループや、
その中にいる元カノを追ってきたストーカー男と密猟者グループで計3つの陣営が
同時進行で描かれますがどいつもこいつも見事にクズ野郎ばかりで胸やけ寸前。
(追われている元カノだけまとも)
女性をたぶらかしたり盗撮したりストーカー対象を大声で叫んでワニを呼んだり
人間を誤射したりとやりたい放題。
ワニのエサを大量に用意する姿勢は感心できます。
畜生一家の方は、子守の女性を死なせたところはまだ不可抗力かな…と擁護できなくもないんですが、
気絶した保安官を車に放置して自分だけ安全地帯にこもってたり、
肩をストーカーに撃ち抜かれながらもナイフ1本でワニと戦う女ハンターを
放置して自分だけ安全地帯にこもってたり、
万引きしたスーパーに不法侵入して店主を死なせてしまったり
と目を見張るような活躍をしてくれます。
ただ、母親の方がチェーンソーを持ち出したところはかなりワクワクしたんですが
彼らには使いこなせませんでした。どうせ大してリアリティのある映画じゃないんだから
そこはワニの歯とチャンバラでもやればいいのに…
たとえこの場を生き残ろうがこの一家が幸せに生きることなど不可能では?
死んでしまった方が幸せなんじゃないの?としか思えないぐらいの業を背負っていきますが
ワニを1匹爆殺しただけでなぜかハッピーエンドみたいな雰囲気。
まだまだワニ残ってるだろ、とか遺族や世間からのバッシングがとんでもないことになるんじゃないの、とか思いますがモンパニ映画では生き残りさえすれば勝ちです。ワニが暴れている間に裁きを受けなければ無罪。
というわけで微妙に後味がよろしくない気がしますが、
バラエティに富んだクズ野郎がこれでもかと暴れ、ワニもバンバン喰いまくり、
と見どころ満載なのでそれほど退屈せずに観られるでしょう。
自分勝手な畜生ウォッチングが嫌いでなければオススメです。
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