道北の辺境へ越して来てから早くも約1か月が経とうとしております。
聞くところによると、どこぞの都会では10連休とか何とか夢のような異空間がそこかしこで展開されているらしいのですが、私は飛び石で6日間休めるだけでも御の字といったところです。当然旅行など出来るはずもなく、せいぜい自分が都会から来た旅行者だと思い込みながらその辺をウロチョロ観光ごっこするのが関の山。
しかし田舎も度が過ぎると娯楽らしい娯楽と言うものが何も見当たらず、しいて挙げるなら行者ニンニク採り、ウド採り、ワラビ採り、タケノコ採りの4つぐらいしかありません。いくら嘆いてもそれしかやることがないので素直に山へ行ってきました。転勤回数が多いとそれなりの適応力が身に着いてくるものです。
それにしても事あるごとに田舎田舎と言ってるが、一体どれほどの田舎なのか?と思っている方もいらっしゃるかもしれません。ということで写真を撮ってみたのですが、
↑改めて見るとやっぱり悲しくなるぐらいド田舎でした。人口密度は良くて2.2人/km2くらいでしょうか?
アスファルトと電柱が無かったら江戸時代の写真と言われても気付かないレベル。なんかもうこんなところにも光回線が来ていることやゲオの宅配レンタルを利用できる文明社会に感謝せねば…とさえ思いました。
↑ここは4月も末だというのにまだまだ雪が残る山中の清流付近。
行者ニンニクの名前の由来は、修験道の行者が山籠もりの際に食べたからだとか。なので、辺境のさらに山奥のどえらい急斜面でしか採れません。かなりの貴重品です。たまにイヌサフランとかいう変な毒物と間違えて死んでしまうお年寄りがいるとテレビで注意喚起してますが、匂いを嗅げば一発で判別できます。
↑斜面を登っている途中で撮影。これでも高さ7~8mくらいかと思いますが、まだ半分も登っていません。足元の土は非常に脆く、枯れ木に掴まりながらでないとまともに移動できません。
落ちれば確実に死あるのみ。
しかも、そこら中シカのフンだらけです。シカもこの斜面で行者ニンニクを食んでいると見え、足場の良いところにはフンばかりで植物は何も残っていません。シカや先行者が手を出せなかった難所を攻めて初めて獲物を手に入れることが出来る。今回は2回ぐらいずり落ちそうになり、そのたびに死を意識しました。なんと危険な娯楽だろうか。しかしたまにはそういうスリルも悪くない。生きることは本来死の危険と常に隣り合わせである。コンクリートで固めた安全圏にこもっていては決して得ることの出来ない、生物としての本能を呼び起こされる…。
とか何とか田舎の美点を見出そうと必死になったりもしましたが、まあ普通に楽しいです。行者ニンニクは大変美味ですしね。しかし、レシピを探すと生のまま刻んで醤油漬けにするのが良いとあるのですが、あれだけシカのフンが大量にある斜面に生えてるものを生で食うのはちょっと気が引けますね。まあそれも肥料の一種だと思って食べますけどね。