製作:2018年アメリカ
発売:ニューセレクト
1974年11月、ブッチ・デフェオが両親と兄弟姉妹6人をライフルで殺害するという事件が発生。被害者は誰も銃声で目覚めることなく全員うつ伏せで射殺されていた。のちに「アミティヴィルの恐怖」として有名になっていくこの事件の裏には一体何があったのか?
「悪魔の棲む家(1979年)」と言えば、デフェオ一家殺害事件があった家に何も知らずに越してきた一家が怪現象に襲われるという実話ベースのホラーで大ヒットした作品です。本作「REBORN」はその発端となったデフェオ一家殺害事件そのものを映像化しており、REBORNというよりは「悪魔の棲む家ビギニング」と言った方が正しいでしょう。
ちなみに私はこのシリーズをオリジナル含めて一つも観たことがありません。
なんせ続編が大量に作られたシリーズであり、
「悪魔の棲む家 PART2」
「悪魔の棲む家 3D」
「悪魔の棲む家 完結編」
「真・悪魔の棲む家」
「新・悪魔の棲む家」
「アミティヴィル1992」
「悪魔の棲む家 最終章」
「悪魔の棲む家(リメイク版)」
タイトルを見ただけで手を出そうという気が失せてしまうのです。
あとパチモンかどうか知りませんが
「悪魔の棲む家666」とか「震!悪魔の棲む家」とか「続・悪魔の棲む家」なんてのもあったりします。
で、本作は現実にあったデフェオ一家殺害事件を描いているわけなので、オカルトホラーというよりはドキュメンタリーチックなものを期待したいところです。
父親のロナルドが恐ろしく暴力的な男で、妻や子供を日常的にぶん殴っておりブッチは薬物に逃げる他なく、錯乱してライフルを家族へ向け…
…ってまあ、実話とはいえありがちな話でした。
1979年版のオリジナルがヒットしたのは、このデフェオ家事件が大々的に報道され有名になったところ、わざわざその跡地に越して来て怪奇現象がどうのと騒いだラッツ一家の企みが上手くいったから、ということらしいです。現実の凶悪事件に便乗して一儲けした人々、まんまと踊らされた大衆、映画そのものよりもその辺の構図の方が面白いような気がします。
そんな虚飾に満ちた「悪魔の棲む家」の元凶となった事件を今さらマジメにやられても、残念ながらサッパリ盛り上がらないと言わざるを得ません。
↑家の中にある意味深な「赤い部屋」でコックリさん的なことをやってたらコインが動くどころか大量に乱れ飛ぶことに。単純に物量増やして怨霊の強さを示す単細胞さはいただけない。
そもそも、この家がオバケ屋敷たる所以はデフェオ家殺害事件にあるはずなのに、そのデフェオ家殺害事件もまたなんらかの怨霊によるものだったと言われても困るではないですか。
現実の事件をオカルトで片付けていいのか? 結局何の怨霊だったのか分からんし。
ブッチは実在の人物なのに「あれは怨霊が悪かったんだよ」という調子で映画化したらまずくないですかね。たった40年前の事件ですよ。まあ「こんなB級映画にまじになってどうするの」と言われるとその通りですが、結構真面目に丁寧に作られた風な映画なのがね。
んで、この事件最大のミステリーである「家族全員がうつ伏せで射殺されていた」という部分については、特に何の理由も無くただ寝込みを撃たれただけで済ませるっていう。家族全員うつ伏せで寝る癖があっただけっていう。
いや、なんか…もうちょいなんかあってもいいだろそこは。
恐怖描写は丁寧ではあっても前時代的すぎるし、グロも一切なければ人間ドラマに味があるわけでもない。
…ということで、あの事件に興味がある人にオススメ…とは言えませんが、「お化け屋敷映画なら何でもいいから観たい」と思ってる人なら暇つぶしにならんこともないでしょう。