「海の魔王、降臨」
邦題は1999年の映画「シャークアタック」と非常に紛らわしくてアレですが
本作は珍しくジャケット詐欺要素が少なく、ちゃんとしたクソサメ映画でした。
最後の15分程度だけとはいえ
「戦車や戦闘機と激しく交戦(たわむれ)る超巨大メガロドン(スーパーシャーク)の姿」
というメインディッシュの部分をしっかり観ることができるため、
前置きのストーリー展開がどんだけユルユルまったり(時々超展開)であろうとも
そこそこの満足感を得られるというありがたい出来。
誰がどう見てもクソ映画なのは否定できませんが、
これは「面白いクソ映画」と評価されても良い部類のクソ映画だと思います。
本作は「違法な海底掘削をしていた石油会社と、真相究明にやってきた海洋調査局員の争い」と「ライフガードたちの三角関係」の2つが話の軸となっています。
一見すると、サメ映画では何十回何百回と使いまわされてきたありがちすぎるパターンでしかないのですが、本作はこの2つが一切絡み合うこと無く、そのうえで結構な超展開を見せてくれます。
まず恋愛脳なライフガードたちなんですが、
3人の性格や背景がある程度示され、
1人のイケメンチャラ男を巡る女性2人の確執がアレコレ起こり始めた段階で、いきなり
「ビキニ女王コンテスト」
なるイベントが始まり、
しかもその一部始終をじっくり見せてくれた直後に
3人とも唐突に豪快かつアッサリ喰われて退場。
今までの恋愛模様は一体何のために展開していたのか…?
始まってから45分ぐらい経っているのだが…。
そしてビキニ女王コンテストとは一体何だったのか…
…と思ったらそっちはちゃんと
「優勝者たちが浜辺で撮影会中に襲われる」
というシーンにつなげてきます。ライフガードたちの人間模様はコレの超回りくどい前フリにすぎませんでした。どういう手法だ?
それにしてもビキニ女王コンテストとかこの撮影会のシーンはやけに長いです。
いかにセクシーであろうとも、さすがに飽きてきます。
サメよりもビキニ女性がメインなのではないかと思えてきました。
これは観客へのサービスというよりも、
単に監督がビキニ女性を撮影しまくりたいだけだったのでは?
という疑いが濃厚だと言わざるを得ません。
ちなみにこのスーパーシャーク、クジラ並みのサイズでありながら、
陸を歩けるのと大ジャンプが出来る。
というのがウリのサメ型モンスターです。
地味なんだかハデなんだかもう私の感覚ではよく分かりません。
そして違法な掘削作業を行っていた海洋調査局員ですが、
いかにも潔癖そうで環境保護意識の高いグリーンピース的な女性だったかと思いきや、
なんと単に石油会社を目の敵にしているだけのモグリだったうえに、
ワイロを受け取って告発中止。
一応主人公らしき存在なのに。
なかなか珍しいパターンの展開に意外と目が離せません。
そしてワイロの力で、
巨悪が石油会社からスーパーシャークへと移行し、
いつの間にか米軍との決戦がはじまります。
もちろん映像的にはそこが最大の見せ場です。
しかし…
米軍…たった2人しかいねえ!
後ろで指示してる上官入れても3人だけ!貧弱!
…なのですが、ジャケでも歩兵は3人しかいないので大丈夫です。詐欺ではありません。
そしてお待ちかね戦闘機との交戦シーン。
サメがヘリに喰らいつくシーンはもう見飽きてますが、
さすがに戦闘機は初めてです。
音速で飛行するジェット戦闘機の羽をもぐとは
スーパーシャークの名に恥じない超性能。
後にも先にも本作でしかお目にかかれないレアな絵面に
プレミア的な価値を感じるところです。
そして
ついに
世界最強の現代アメリカ軍が誇るとっておきのリーサルウェポン
「歩く戦車」
の登場です。
戦場ではない地域で用いれば大惨事に陥る可能性すらある
超絶高性能殺戮戦闘兵器ウォーキングタンク。かっこいいですね。
戦闘機を打ち落とすほどの怪物スーパーシャークとの決戦に高まる緊張感。
これほどまでに正々堂々とサメと対峙した猛者を描いたサメ映画が
かつてあっただろうか? いや、ない。
必殺の蹴りで対抗!!!
サメも尾ビレアタックで反撃!!!
砲撃? 砲身など飾りです。歩く戦車は足が本体なのです。
果たしてどちらが勝利するのか?
この異様すぎる異種格闘戦の結末は、
ぜひ本編の方でご鑑賞ください。