2002年製のちょい古めのサメ映画です。
残念ながら世間の評価は当時から全く大したことないし、2018年の今ではもう一山いくらのクソサメ映画として完全に埋もれてしまっている感があります。
しかし私は本作が大好きで、このカッコ良すぎるジャケットと裏面の煽り文句は何度見ても痺れます。ということで本作はこれまで5回ぐらいは鑑賞しており、今回で多分6回目です。
下手すると「ディープ・ブルー」や「ロスト・バケーション」よりも繰り返し観ているかもしれません。
やつは、はるか海底で、
太古から進化を続け、巨大な体躯と、
膨大な攻撃力を身に付け、
じっと…じっと…待っていた…
そこに、「ヒト」が来ることを…
(ジャケ裏より)
ところが、それほどのお気に入りサメ映画であるにも関わらず、
私は本作を何度見てもすぐに内容を忘れてしまうという怪現象に悩まされていました。
ただし、
「結構面白かった」
「ラストがなんか凄い」
という2つの印象だけは薄っすら残っているため、2~3年に1回はふと見直して確かめてしまうというわけなんですが、そろそろ不毛に感じてきたため、ブログ記事にすることによって、今度こそ内容を記憶に強く焼き付けておきたいと思います。
なので衝撃のラストまで全てネタバレしますので、あまりいないとは思いますがこれから観ようと考えている人はご注意ください。
…ところで、映画界には「潜水艦映画にハズレ無し」という格言があるのをご存知でしょうか。
根拠まで述べていると長くなるので書きませんが、とにかく潜水艦映画はよっぽど下手をうたない限りつまらなくなることはないらしいのです。
そして本作はサメ映画であると同時に潜水艦映画でもあります。
ということは…?
…しかし「サメ映画にアタリ無し」という法則があるのもまた非情な現実。
まあそれはともかく、本作の主人公は潜水艦と潜水艇のエキスパートであるスペンサーという青年です。彼はメガロドンに両親を喰い殺されたという実に難儀な過去をお持ちでした。
そしてある時マリアナ海溝の底にある深海研究施設が破壊されるという事件が起き、その原因究明のためにスペンサーを含む調査隊が現場へ向かう。
するとそこにいたのは、体長25メートルに及ぶ超巨大鮫メガロドンであった…
という感じのストーリーです。
↑海底の研究施設を調査中にメガロドンの歯を発見するシーン。
深海のはずだけどよく見たらこの映像、水中ですらありません。
こういうケチり方もなかなか珍しい。
体長25メートルという、サメ映画の歴史でも屈指の巨大さを誇るメガロドン。
CGの出来は02年にしてはかなり良好かと思われますが、
いかんせん深海が舞台のため暗くてよく見えません。
また、あまりにもデカすぎるため、人間を直接喰らうシーンはあまりないし
あっても食べる瞬間が見えない。しょうがないけど。
基本的にこのメガロドンは潜水艦に体当たりをすることで人間に対する脅威を示すことになります。
でも潜水艇の出入り口のところに鼻先を突っ込んでくる程度のサービス精神は持ち合わせているようです。サイズ的にも潜水艦の構造的にもちょっと…いやかなりおかしい気がしますが、申し訳程度にでも人を喰うシーンをねじ込むためには仕方ありません。
右端のイケメンが主人公スペンサー。
本作は潜水艦映画も兼ねているだけあって、閉鎖空間での人間ドラマもそれなりに充実しています。
たとえば、何かと悪態をついてくるクルーを相手に漢気を見せ和解し絆を深めるといった暑苦しい友情などを楽しむことができます。
ジョーズを原型としたサメ映画の基本的フォーマットからは大きく外れた物語構造を持つ本作ですが、いくら命の危機にさらされてもあくまでメガロドンの生け捕りを主張する海洋生物学者は、サメ映画マニアにとって祖母の焼いたクッキーのような安心感を与えてくれる存在です。
そういやこの手の主張をかます学者は大抵女性なような気がしますが、どうしてなんでしょうかね。
そんなこんなでメガロドンの体当たりを喰らいすぎて沈みそうになった潜水艦を守るため、スペンサーが潜水艇でメガロドンを誘導し、潜水艦に積んである強力な魚雷で倒そうという作戦になります。
ところが、1発目を外し、今度こそと2発目を発射する時、
なんと魚雷の発射口がトラブルでふさがっている。ということに上の海洋生物学者が気づきます。
このまま発射ボタンを押したら魚雷が発射されずに爆発して潜水艦が沈んでしまう…
あちこちがショートし無線が通じなくなったため必死で走る生物学者。
しかしそんな彼女の努力も虚しく発射ボタンが押されてしまい、哀れ潜水艦アルゴン号は大爆発を起こし海の藻屑となったのだった…。
という凄まじいまでのバッドエンド。
これには観ている方もお口あんぐり。
しかしまだ主人公スペンサー1人だけは潜水艇に乗っていたので生きています。
レスキューも海上にやってきたので、あとは浮上すれば命は助かるという状況。
しかし…
潜水艦が爆発してもなおまだ生きているメガロドンと対峙。
普通だったら、もうとっとと浮上して助けてもらうところですが、
この男は違いました。
両親がメガロドンに喰われた記憶がフラッシュバック。
何が何でもコイツを殺さないと気が済まない…
という悲壮な決意の表情。
この後何が起こったか、もう説明しなくても分かりますね。
ビックリするほどの2段構えのバッドエンドでした。
まあそれにしても、あまりにもアッサリとエンドクレジットに突入しちゃうのはどうかと思いましたが。なかなかこんな後味の悪いサメ映画もありませんよ。
ということで私は少なくとも今後10年は本作を再見しないと思いますが、
2018年現在の目で見てもなかなか良く出来たサメ映画兼潜水艦映画だったので
興味の湧いた人は観てみてください。