2016年、サメ映画史上に残る傑作「ロストバケーション」が公開されました。
少なくとも今後10年、いや20年はこのレベルのサメ映画は現れないだろう…
そんな後ろ向きな満足感と共に劇場を後にしてから1年後、この「海底47m」の登場です。
予告編を見ると、メキシコの海でケージに入ってサメを鑑賞するツアーに参加した
姉妹が、トラブルでケージごと海底に落下してしまうという
今までありそうでなかったシチュエーションのスリラーです。
うむ…これは何だか面白そう。
いや、でもサメ映画だし(普通の意味で)面白いわけがない。
期待したいけど…サメ映画に期待は禁物。今までどれだけの産業廃棄物を掴まされてきたか…。
しかしサメ映画マニアとしては観ないわけにもいかない。
いや…ちょっと…何これ…いい出来じゃないの。
2年連続でこんな素晴らしいサメ映画が作られるとかどうなってるの?
しかもこれもまたギャグとか一切ない、シリアス一辺倒の恐怖映画。
近年サメ映画界ではすっかり「サメ=笑い」となってしまっており、
序盤でサメが出てきた時は私もつい笑みがこぼれてしまったのですが、
題名通り海底47mに落っこちてからは壮絶な緊張感と恐怖感の連続。
サメがいなくても海底に取り残され酸素がどんどん減っていく描写は
「ゼロ・グラビティ」を思い出す心細さ。
おまけに船に残ってるのはよく知らないメキシコ人4人だけ。
落ちた姉妹を見捨ててどっか行っちゃっても全然おかしくない。
それだけでも絶望なのに、巨大なサメがガシガシ襲ってきます。
ケージの中にいればとりあえず安全なのですが、
通信するためとかライトやボンベなどのアイテムを回収するなどの目的で
ちょくちょくケージから出なければならず、そのたびに濁って視界が効かない海中の
どこかからデデーンとサメが現れるので正直ビビリまくりでした。
不気味な音楽もやたら大音量で煽りまくるので真剣に怖いです。
(ちょっと音で驚かせすぎだろ!とは思いますが)
サメだけで観客を怖がらせるのは難しいものですが、海底に取り残される恐怖との相乗効果でサメの怖さが通常の2倍にも3倍にもなっています。
普通だと海面近くに被害者がいて、下からサメが襲ってくる構図ですが
この映画の場合360℃どこからでもありで、視界が悪い。
サメがこんなに怖いサメ映画なんて本当に珍しいです。
「ロストバケーション」を上回る恐怖と緊張が「海底47m」にはあります。
とはいえ、個人的に残念なのはラストでした。
なんかモヤっとするあの感じはどうも好きではありません。
確かに伏線はありましたけどね…。
あれだけの地獄を見せたんですから、気持ちよくハッピーエンドにしてほしい。
それがだめなら絶望のまま終わる方がまだいい。
とはいえ、これだけの出来のサメ映画にケチつけるほどの問題でもありませんね。
ラストがちょっと気にいらないくらい、些細な問題です。
全体的に言って、サメ映画としては尋常ではないほどの超絶高クオリティです。
サメ映画好きな人はもちろん必修ですがそうでない人にも安心しておすすめできます。