製作:2012年アメリカ
発売:インターフィルム
中東のある地域で、米軍の部隊が突如消息を絶った。調査の結果、その部隊の中にマッドサイエンティストが紛れ込んでおり、密かに研究していたワームホールを実現させてしまったということが判明する。米軍はマッドサイエンティストを確保しワームホールを閉じるべく専門家のマークス博士含む捜索隊を中東へ送り込む。しかし、そこで待っていたのは巨大なサソリやタランチュラであった。
生き物が巨大化して人間を襲う。という映画は無数にありますが、原因がワームホールというのは珍しい。当然、ワームホールを通過して別世界からやってきた化け物なんだろうと思いましたが、本作のワームホールはガッタ線とやらを放出するクリスタルをばらまく存在でありそれを体内に取り込んだ生物が巨大化するというまどろっこしい設定でした。
と言っても当然ながらそんな細かい設定話をするような本格SF映画では無く、
米軍と巨大生物との戦いをボンヤリ楽しめばいいだけの愛すべきC級映画です。
終盤になるまでは巨大生物の出番が少なく、主人公のマークス博士と元妻の中佐と捜索部隊の隊長の3名が織り成す微笑ましい痴話喧嘩を眺める必要があります。最初はいがみ合っていたマークスと隊長が徐々に友情を育んでいく様子を楽しみつつ、「
ワームホールが人間の母性本能を利用して自分を守らせる」などといったトンデモネタが時おり挟まれるのに驚いていれば案外退屈する間もなく30分くらいすぐに経ってしまうでしょう。
しかし本作の尺は95分。まだまだモンスターを見せずに尺を稼がねばなりません。そこへ行くと本作の時間稼ぎのテクニックはなかなか巧妙。
夜営中にマークスが「セクシーな服を着ている元妻が出てくる夢」を見て目を覚まし、腹が減ったので夜食を食べようとしたがまずくて食えず、せめて暖めようとして火を起こし、「敵に見つかるだろ!」と怒られて、仕方なく移動する羽目に陥ったというのに呑気に鼻スプレーの魅力を語り乾燥体質だなどと余計なことを言いながらリップクリームを塗りたくるという、何一つこれといった意味のない描写を延々と積み重ねてくる超絶技巧には感心せずにはおれません。
↑そしてようやく本格的に襲って来てくれる巨大サソリと巨大タランチュラの絶望的コンビネーションアタック。人類は彼らに対し成す術もなくやられてゆく…のかと思いきや、彼らは前座に過ぎなかったようで、手榴弾1発で葬り去られてしまいました。よく見ると案外デカくもない。CG的にも初代バイオハザードのザコ敵クラス。
↑本当に危険なのは巨大スズメバチの方でした。こっちは見るからにやばそうなオーラを醸し出しています。いません。さぞかし残虐な方法で米軍を屠ってくれるに違いない。かもしれない。B級ホラー映画マニアの歪んだ期待と欲望が膨れ上がります。尾の針で刺すという王道も良いが、アゴで挟み潰すのもアリだと思います。
↑と思ったら、まさかの超握力で兵士の下半身をサクサクと切断。
ポロリポロリと落ちていく下半身に驚き。完全に二次元化されております。こういうスプラッターの見せ方があったとは。しかし血が噴き出すこともなく内臓が散らばることも無いのが少々不満と言えなくもないです。二次元なら仕方ないか。そしてこういう時にハチが普通に刺してくる場面を未だに観たことが無い気がする。
そしてクライマックス、ワームホールが放出しているクリスタルを埋め込むと巨大化できる。ということは、人体に埋め込むとどうなるのか? 追いつめられたマッドサイエンティストの取った行動とは…
↑巨人になるのかと思ったら、なぜか大蛇に変化。
それも問題ですが、
「ワームホールが
地球を飲み込んでしまいそうだ!」
というダブルで危険な場面でもあります。
一体どうすれば
地球の危機を救えるのか!?
天才科学者マークスの出した答えとは!?
「大きいもので栓をすれば塞がるはずだ!」
なる
ほど。