「アクア・クリーチャーズ」と言われてもどんなモンスターが出てくるのか
イメージしにくかったんですが、原題は「BLOOD LAKE Attack of the killer Lampreys」ということなので「アタック・オブ・ザ・キラーヤツメウナギ」なのですね。
つまり「アタック・オブ・ザ・キラートマト」の流れを汲むゴミホラーというわけです。
「ヤツメウナギ」の部分が英語だとなじみがないので違うタイプの邦題にしたのでしょう。
…字幕では「ウミヤツメ」と出ていますがヤツメウナギの亜種みたいなものなんですかね。違いがわかりません。
実在の生き物をモチーフにしたモンスター映画は、大抵「放射能」とか「化学物質」とか「成長促進剤」とか、珍しいところでは「変な密造酒」なんかを水源に垂れ流したことで突然変異を起こした生物が化け物に…というパターンが定番中の定番です。
「環境破壊が原因」ということにしておけば何となく高尚な気がするし、モンスター化する生き物も被害者ということになり風評被害を与えずに済み一石二鳥ですからね。
…が、この映画の「ウミヤツメ」の場合、そういった要素が何もありません。
ただ大量発生して飢餓状態になったヤツメウナギです。
それだけであんなにビチビチとトイレから出てきてケツに侵入するかなあ…
ウミヤツメは確かにそのままでも結構キモい生物なので
モンスター映画としては目の付け所が良いとは思います。
CGは出来が良いとは言えませんがそれなりに嫌悪感を煽る程度のクオリティは確保していますし、水道やトイレからあふれ出てくる様はあの迷作「スクワーム」のゴカイ地獄を少しだけ彷彿とさせます。
それにしても、この作品の場合、ストーリーがあまりにもテンプレートすぎました。
湖にウミヤツメが大量発生し、専門家の主人公が危険性に気付き、観光収入を失いたくない町長がビーチ閉鎖に強硬反対、そしてパニックへ…と40年以上前に作られたパターンをそのまんま劣化コピーしただけ。そんなことしたってどうせ突っ込みどころ満載になるんだから、「
新アリゲーター」みたいに型にはまらない個性を出してもらいたいものです。
他にも気になるところが色々とあります。まずBGM…。この映画、無音のシーンがなぜか少なく、常に何かしらBGMが鳴っていることが多いのですが、クオリティにかなりの難があります。単刀直入に言って、ヘボい。こんな気の抜けたBGMを鳴らし続けていたら、観ているこっちも気が抜けてきますよ。
あと、子役ですね。
個人的に、ホラー映画でメインキャストに子役を据えるのは嫌いですね。だって死ぬわけないし。仮に製作陣がかなりのチャレンジャーで子役を無残に殺すシーンがあったら、それはそれで予想外だし凄いとは思いますがそういう場面を観て楽しめるかというとそれも難しい。
だいたい、こんな映画にメインで出てることがバレたら学校でいじめられるでしょうからやっぱり子役反対ですね。
この気の抜けた能天気なBGMと、キャーキャー騒ぐ大根子役、一家を守るお父さんが主人公とあって全体的にコミカルでファミリー向けのようなぬる~い雰囲気が漂っております。
とはいえ一応スプラッター描写がないこともないのですが…それとも現代じゃこれくらいはPG12以下のレベルなんですかね。序盤で釣りをしていたオッサンの目玉にウミヤツメが食いつくシーンだけは結構なグロだったと思うんですが。
退治の仕方も、ラストの締め方も何もかも中途半端でダメダメと言わざるを得ませんね。
あんなんで全滅させられないでしょ…とか相棒無駄死ににもほどがあるでしょ…とか色々言いたいことはありますが、結局明るいんだか暗いんだか全然分からないウヤムヤな感じのフェードアウトからのスタッフロールは特にいただけません。そんな投げやりになるくらいなら一家全滅なりアメリカ崩壊なり何かやらかしてくれた方がマシです。
褒められるところと言ったら、主人公の娘が芝刈り機をメインウェポンにしてヤツメウナギを刈りまくることぐらいですね。危なっかしいことこのうえないのでモンスターより怖いです。案の定ボーイフレンドに誤爆したところは唯一この映画で笑えたシーンでした。
ということで、ヤツメウナギが大好きな方にだけおすすめです。
「食べるのが好き」という意味でなく、生物的に好きな人限定。
そんな人がいるかどうかわかりませんが。