ある好事家の記録 主に変な映画の感想

変わった映画を見つけたらそれを語りたいブログ。  主にモンスターパニック映画、特にサメ映画の感想が多め

SHUT/OUT シャット/アウト 感想


STORY
目覚めたら、閉じ込められたガレージの車の中。そこには2台の車があり、その内の1台はアイドリング状態で、排気ガスが垂れ流されていた。なにもしなければ、一酸化炭素中毒で死んでしまう。閉じ込められたことを知り、脱出方法の模索を始めたエレナ。そんな時、彼女のスマホが鳴り、犯人からゲームの始まりが告げられる……。

彼女を閉じ込めた奴=犯人の目的は一体何か?彼女が生き残るために「選択したこと」とは?驚愕の真実が今、明らかになる!!


(Eclipse HPより)



気が付いたら密室に監禁されていて、命を懸けたゲームを強いられる。
もはや何番煎じだか分からんし手垢がついてるというレベルですらない、
いわゆるソリッドシチュエーションスリラーというやつです。


さすがにもうこの手の作品には食傷気味なのですが、
本作はイタリア製だということで一応チェックしてみました。
イタリア映画といえば、
・色々と粗雑
・残酷描写は過激
・よくパクる
・映像センスが独特
というイメージが強いのですが最近のはあまり観ていないので
少し興味が湧いたのです。
…ただ、舞台はアメリカのようだしみんな英語しゃべってるし、何も知らずに観たら普通にアメリカ映画としか思えませんでしたが。とどのつまり、ただの粗雑な劣化コピーです。





で、まあ結論から申しますと本作は80分ちょっとの間、中年女性が排気ガスでもがき苦しむだけの単調な内容のうえ、「ソウ」のパクリであるにも関わらず謎解き要素もなく、さらに残酷描写さえ全く存在しないという虚無的な映画でした。80分が240分ぐらいに感じるレベル。90%以上の人が途中で観るのをやめると思われます。

唯一まともかなぁと思えるのは例によってカメラワークとか編集だけという有様。
私の感覚ではZ級以上C級未満といったランクに位置するクオリティです。



「ソウ」大好きな監督による「ソウ:俺Ver」的映画なわけですが、
予算があまりにも少なかったせいか舞台は徹頭徹尾車庫の中だけで一歩も外に出ず、
主人公エレナの命を脅かすのはボロ車の排気ガスだけ。
「あと78分で君は死ぬ」と犯人に宣告された時は「24」のようなリアルタイム展開でスリルを演出するのかと思ったんですがエレナは別にこれといって何もしないし
捜索側の視点とかも一切出てこないので特に意味はありませんでした。



この手のソウパクリ映画にしては主人公の置かれた状況が異常にヌルく、
拘束はすぐに解けて車庫内を自由に動けるようになるわ、
排気ガス以外に危険な仕掛けは一切ないわ、
スマホは自由に使えるわで全く緊張感がありません。

主人公エレナも大物犯罪者の妻で、本人も相当なワルのムショ上がり。
四六時中泣いたり喚いたりヒス起こしたり咳き込みまくったりで全然頭使って助かろうとしないしただのストレス発生機。



ただし、この車庫の中にはガスマスクを付けた難病の少年と、一羽のカナリアがいました。
少年はともかく、鳥好きとしてはカナリアが観られるのはうれしい。しかしカナリアが死ぬシーンは絶対観たくないので、そこからはカナリアが助かるかどうか!?が気になって仕方ありませんでした。


 
↑ガスを出し続けるボルボのワゴンとは別にホンダ・シビックが置いてあり、
その中にはカナリアが…。







↑シビックを動かしてシャッターに突撃するシーン。
どうせ脱出できるわけない無駄な行動より、
衝突の衝撃でカナリアがケガをしないか心配でしょうがない。







↑大変カワイイですね。
しかし何のために入れたのか?
その昔、炭鉱掘りで有毒ガス検知にカナリアが使われたとは聞きますが、
まさか単なるタイムリミットを煽る演出のためだけに出したわけでは…






 
↑危惧していた事態が的中。
つまりカナリアは単なる時間稼ぎの小道具、シーン稼ぎの添え物というわけでした。
仕掛けとか謎解きとかまるで関係なし。
カナリアさんに無駄な仕事をさせないで頂きたい。






 
↑そしてカナリアをなぜか車外に出し、エレナは車内でヌクヌクとビデオレターの撮影。
中に入れてやってくれよ…カナリア死ぬじゃねーか…リアルに死なせてたらどうしよう…
いらん心配でよけいなストレスをかけてくるこの映画に憎しみが湧いてきますが、
どうやら死体は人形のようで一安心。




警察に電話したらGPS探知してくれたけど結局来ない、
この車庫には窓ガラスがあるのになぜか割ろうとしない。
エレナはただただ嘆き悲しんで水を飲んだりしょうもない電話をかけたりするだけ。

それでいて犯人像が「ソウ」とほぼ一緒とは…。
「ソウ」の医者は脱出のために自らの足をノコギリで切るという究極の選択をしましたが、本作のエレナは難病の少年からガスマスクを奪うだけ。しかもすぐ返すし。結局車庫から自力で出る方法は用意されてないし(窓割れば出られるが)、ゲームにも何にもなっていませんでした。




本作は、例えて言うなら、コピ・ルアクに衝撃を受けてマネしてみたはいいが
結局単にその辺の野良猫の糞を煎じて飲ませてるようなもの。
これは免疫力強化 以外の目的で手を出していい物体ではありません。くれぐれもご注意ください。

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岩石入道
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男性
自己紹介:
B級~Z級映画が主食。ホラー、モンスターパニック系が特に好き。目についたサメ映画全てチェックしたい
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