変わった映画を見つけたらそれを語りたいブログ。 主にモンスターパニック映画、特にサメ映画の感想が多め
製作:2018年チェコ・スロバキア
発売:アットエンタテイメント
AIが住民の世話をしてくれる夢の次世代住宅「インテリジェント・ホーム」
そこに開発者の夫と芸術家の妻がテストとして1年間住むことになった。
住民の感情をあらかじめ察知し、適切なサービスを提供、快適な生活が送れると思われた。
AIが妻ズザナに執着し、暴走をはじめるまでは…
2連続でAIの暴走に警鐘を鳴らす系SFサスペンス映画。
AIが最近のトレンドなんでしょうか。私も来たるべきAI社会に備え、シスコシステムズあたりに投資しておこうかなどと思ってます。…種銭が出来次第。
しかし、本作はさほど最先端を走っているというイメージでもないチェコ・スロバキア合作映画です。そのせいか、AIの描写に関してはかなりリアル路線。大げさなSFチックさは全くなく、現行の技術でも実現できそうな感じのAIです。
「プロトタイプ・マナ」なんかとは違い、マジメにAIの脅威に警鐘を鳴らしていると感じられる良作でした。
↑本作のメインテーマかつ舞台となる、スロバキアの郊外に作られたインテリジェント・ホーム試作型1号。
人目につかないところでテストしたいってことでかなり田舎です。うちと同じくらい田舎です。
スロバキアもこんなところまで生活インフラを引いているんでしょうか?
何にせよAIが暴走してもそうそう誰も助けに来られない状況設定。
まずは住人であるズザナが聞きたい音楽を自動で流してくれたりとか、朝食を自動で作って出してくれたりとか、インテリジェント・ホームの良さを見せてくれます。しかしテストケースとはいえ監視カメラで私生活を余すところなく見られているわけで、いくら外部には流出しないと言われても心からリラックスは出来なさそうです。
「サイバー・リベンジャー」でもありましたが、シャワー室にまでカメラを設置するのはいかがなものか。この手の映画では入浴シーンが100%流出しますよね。しかも性的サービス機能までついてるとあってはもう流出しない方がおかしい。「お前の気にしすぎだろ」と妻の不安を取り合わない夫(開発者)は単に無神経なのかそれとも陰謀に加担してるのか、判断に悩むところです。
流出もアレですが、日常的なことについてチクイチああしますかこうしますかと判断を迫ってくるのも地味にウザそう。ウィンドウズも新しくなればなるほど余計なお世話機能が増えてきてますが、このインテリジェント・ホームも似たような鬱陶しさがありそうです。
そしてその余計なお世話機能が次第に悪意を見せはじめ、それがAIの暴走なのか、それとも悪意ある人間によるハッキングなのか…というサスペンス展開になっていきます。
本作は尺が1時間47分もあるので描写がいちいち丁寧すぎるほど丁寧、ちょっと冗長気味で辛いところもあるがそれだけにリアリティは充分(ただし結局外部のあれやこれやも乗っ取っちゃうのは万能すぎると思いますが)。
中には「スロバキアならでは」と言えるとんでもなく恐ろしいお節介機能がサクッと発揮されたりとそれなりのひねり、サプライズも効いてますし、なかなか楽しめました。今月の新作の中では普通にオススメ出来る部類かと思います。
1. 【映画鑑賞】シャットダウン
私も、どちらかと申しますと、映画のジャンル問わず、所謂「悪食」の方で、ポンコツ映画をこよなく愛する者です。私の方はどちらかと言うと「ジャケ借り」が専門で、ジャケットから受けるインスピレーションで鑑賞する口です。
その為、どえらい痛い目(笑)にあったりもするのですが、中にはこの作品の様な佳作にも出会えるわけで…。低予算でも、知恵と工夫でとても面白い映画に大化けする作品を見つける事が、私の個人的な醍醐味になっています。
好事家さんの文章力は、とても魅力的で、いつも楽しみにしております。これからも、様々なジャンルのご感想を期待しておりますので、どうぞ 無理をせず長く更新してください。長文にて失礼致します
Re:【映画鑑賞】シャットダウン
ポンコツ映画を愛する同士に気に入って頂けたなら嬉しい限りです。
ジャケ借りは9割方ハズレを掴ませられてしまうものの、配給会社との虚々実々の駆け引きが楽しめると言う点においてはなかなか奥深い趣味ではないかな、などと思っております。
まあ「これはダメそうだな」と思っても借りるんですけどね。
「シャットダウン」に関しては、チェコ・スロバキアにはクソ映画を作る文化もないだろうと思っていたのである意味期待通りの出来でした。AIの反乱自体は非常にありがちなテーマですが、にじみ出るお国柄がこの映画をユニークなものに仕立て上げてましたね。
それでは、今後も細く長く続けて行きたいと思ってますのでよろしくお願いします。