製作:2018年アメリカ
発売:竹書房
自動車修理工場で働くサマーは、ある日殺人現場を目撃して消されかけてしまう。瀕死の重傷から回復した時、彼女は事件の記憶を失っていたがその代わりに予知能力が備わっていた。
昏睡から目覚めたら予知能力。政治家絡みの殺人事件。なんだか「デッド・ゾーン」を彷彿とさせる設定だけど貧乏臭いC級映画です。
あの有名スターのキャスパー・ヴァン・ディーンが主演と書いてあるのにC級映画?と思う人がいるかもしれませんが、彼は既に「
シャークトパスvs狼鯨」などのクソサメ映画に出てしまうほど落ちぶれ済みですし、そもそも主演でも何でもなく電動ノコギリでぶっ殺されるゴミ役です。
本作、尺が110分とC級映画の分際で恐ろしく長いです。しかもC級映画としても出ている役者の演技力にかなりの難があります。英語のリスニング力など皆無の私ですらいかがなものかと思ってしまうほどの棒読みに次ぐ棒読み。いくら落ちぶれたとはいえこんな棒読み役者たちに混じってるキャスパー・ヴァン・ディーン氏の胸中はいかばかりでしょうか。
「シャークトパスvs狼鯨」の方がまだマシな世界なのではないでしょうか。
これに加えてホームビデオに毛が生えたような安っぽい映像とBGMが貧乏臭さを一層加速させてくれます。
こう書くと何もいいところがないような映画なんですが、意外とあっさり最後まで観ることができたのは驚きでした。私は何より長い映画が苦手で、出来れば一本70~80分ぐらいにしてもらえないかなといつも思っているので100分超えのB級C級映画は大体途中で寝てしまうんです。
では本作の何が私を眠らせなかったのかと言えば、おそらく無駄に盛り沢山な脚本です。殺人現場を目撃して殺されかけた自動車修理工サマーが予知能力に目覚めるという話なんですが、殺人犯グループの目的が市長選絡みだとか、影に謎の黒幕「デカストロ」が存在するとか、そこに潜入捜査官がいてサマーと恋仲になっていったりとか、妹との確執とか、とにかく色々と起伏はあるおかげで前述したような巨大な欠点をカバーできています。
ただ、突っ込みどころは大量にあります。特に肝心の予知能力が別になくてもいい話なんじゃないかと思わせられるところは非常によろしくないです。太ももをナイフで刺したシーンなんかはどうしてあれで上手くいったのか全く分からんしかなり混乱しました。
あと、「影の大物デカストロ」をさんざん引っ張った割には恐ろしく拍子抜けする真相だったのもマイナスと言わざるを得ません。結局アンタかよって感じだしその後のキャスパー・ヴァン・ディーンの行動を見ると大物感も何もない。サマーを殺さずにいた理由も弱すぎるし、デカストロっていうかただのトロいカスでした。
何だか結局何もいいところの無いC級映画という結論になってしまったようですが、とりあえず退屈はせずに観られる部類のC級映画ではあるので暇つぶし程度のつもりで観てみるのはアリかと思います。