製作:1978年アメリカ
発売:ハピネットピクチャーズ
1963年ハロウィンの日、6歳の少年マイケルが実の姉を包丁で殺害するという事件が発生。精神病院に収監されたマイケルは15年間無表情のまま壁を見つめていたが、ハロウィンの日に突如脱走。彼を長年観察してきた医師ルーミスはマイケルの故郷ハドンフィールドへ向かう。
明日から本作のリブート版が日本でもめでたく公開されるということで、久しぶりにオリジナル版を見直してみました。いやー、オリジナル版の公開からもう41年も経ってるとは…。私の手持ちのDVDには「25年の歳月を経て蘇る」とか書かれているので2003年発売。ロブ・ゾンビ監督によるリメイク版が2007年の公開でした。
それから10年以上も経ってまたリブート版が作られるんだからハロウィンシリーズもたいそうな人気ですね。
しかし「ジェイソンVSフレディ」が作られた時、なんでマイケルじゃないんだ!!と憤激の念に駆られたことは忘れていません。その後「ジェイソンVSフレディVSマイケル」という企画があるとウワサが流れた時は小躍りしたものの結局実現することは無く。
近年では日本でもハロウィンの日には毎回お祭り騒ぎになって若者が問題を起こしたりする中でもマイケルが話題になることは無く。人気があるんだかないんだかわからなくなってきました。
それはともかくこのオリジナル版の話ですが、2019年の今観ると恐ろしく地味です。
精神病院から脱走した殺人鬼マイケルが普通の女子高生であるローリー・ストロードとその友人たちを何の理由も無く付け狙い殺していくというだけ。マイケルというキャラクターと秀逸なテーマ曲、そしてジョン・カーペンターの鋭い恐怖演出だけで持ってる映画であり大した中身はないです。まあそれらがあまりに凄すぎたんですけどね。しかし尺の大半がローリーたちのたわいもないおしゃべりに費やされており、ダルいと思う人もいるでしょう。私もそこはダルいです。
マイケルがローリーを狙った理由は2作目以降で語られるし、リメイク版でも採用されていたので本作でも当然同じなんだと思い込みやすいのですが、純粋にこの1作目だけを観ると何の理由もありません。マイケルはただの理不尽なストーカー野郎です。だが、それがいい。2作目以降で明かされたマイケルの行動原理は、蛇足だったと思ってます。マイケルは何を考えているのか全く分からない純粋な悪だからこそ魅力があるのです。それが、自らの血族を滅ぼすとか何とかこじつけられ、しまいには小さな姪まで追いかけ回すようになった5作目以降はほんとアレでした。まあそれでもDVDは揃えてますがね。
スラッシャー映画の源流と言われる作品なので、後発の様々な作品がこのハロウィンをパクリつつ過激に発展し続けていったという歴史があります。「13日の金曜日」なども所詮ハロウィンの亜流の一つに過ぎません。ただマイケルは不死身のバケモノじみた殺人鬼というよりは「普通の人」にかなり近い雰囲気を持っているということが、ジェイソン・ボーヒーズなどの後発亜流と大きく異なる萌えポイントです。
↑ローリーがふと気づくと、そこで静かに佇むように立っているマイケル。昔見た時は幽霊のような存在という印象でしたが、今観るとストーカーのように見えますね。
白塗りのマスクと作業ツナギというビジュアルがカッコよく印象的なマイケルですが、この1作目では素顔を晒すシーンが多いです。姉を殺した幼少期、精神病院収監時(エクステンデッド版のみ?)、終盤の格闘シーンと計3度もあります。特に最後は殺人鬼になってからの素顔なのに、これ以上ないほど「普通の青年」としか言いようのない平凡な顔が逆にかなりのインパクトをもたらします。2作目以降はジェイソンのように超常的な不死身の怪物となってしまうマイケルも1作目では「ただのサイコ野郎」と解釈できなくもない人間味のある殺人鬼なわけで、その辺の絶妙な味付けが続編も含めた後発スラッシャー映画とは一線を画すところではないでしょうか。地味ながら今でも観る価値は大いにある名作だと思います。
あとは何といってもテーマ曲が素晴らしすぎるということですね、私は多分10万回以上聴いてるぐらいカッコイイです。あのテーマ曲と共にマイケルがテクテク歩いて来るともうこれ以上ないほど気分が盛り上がりますね。ちなみに昔メジャーリーグにマイケル・マイヤーズという同姓同名のピッチャーがいまして、彼が登板すると毎回ハロウィンのテーマが流れてて羨ましく思った記憶があります。私にはそんな機会はありませんが、せめて自分の葬式の時にでもハロウィンのテーマをかけてもらおうかなと思っております。
↑テーマ曲が収録されたCDは色々とありますが、曲単体で考えるとこれが一番オススメです。