これ、ジャケのど真ん中にでっかく映ってる女優さんが主役かと思ったら全然違うんですね。
一番右上に小さく映ってるヒゲの兄ちゃんが主役でした。
ホラー映画フリークのジョー・フォスターは、日頃から人を驚かせたり、驚いたりするのが心底好きな人間だ。ある日、顧客に人生最大の恐怖を提供するという会社FEAR,INC.(フィアー・インク)の存在を知り、怖いもの見たさに電話してみる。
「チケットは売り切れだ」と謎のメッセージと共に電話を切られたジョーだったが、翌日から彼とその友人たちを巻き込んだ、連続殺傷事件が起こる。
次第に現実と妄想の境が曖昧になったカオスの中で、ジョーたちが最後に辿り着く究極のゴールとは?命を懸けた異常なまでのホラーゲームが今、幕を開ける!
(Amazon内容紹介)
作中でも言及されていましたが、デヴィッド・フィンチャー監督の「ゲーム」に似通った内容らしいですね。私は「ゲーム」を観ていないので比較はできませんが。
「これはゲームだよ」
「もしかして…リアル?」
「やっぱゲームなんだ」
「マジっぽい…ヤバイ」
「なんだ、ゲームか!」
という感じで虚実がホイホイ入れ替わり、どっちが正しいのか混乱させてくる内容で、
まあワンパターンといえばそうなのですが案外細かいところにも気を配ってあり
それなりに楽しめる映画ではありました。
ただ、本作は私が観る前に想像してたよりもだいぶ低予算な作りで、
舞台はほぼ一軒家の中だけで展開し、画面がやたらと暗くて観にくい。
スプラッターシーンも色んな意味であまりリアルには作られていないので
それなりの見せ場もない、とムチャクチャ貧乏くさい絵面のホラー映画と言えます。
「リアルな恐怖を提供してくれる会社、フィアー・インク」
に申し込みをしてしまう主人公ジョーですが、一見珍しいぐらいクズ人間です。
金持ちの恋人宅に居候する無職のヒモで、酒を飲みまくりヤクをキメまくり、みんなが嫌がることをしまくりのゲス野郎でホラーマニア。
クズ人間鑑賞スキルをお持ちでない方は途中でリタイアするレベルですね。
ホラー映画マニアってなんでいつもこんなクソみたいな奴としか描かれないのか?
私が言っても説得力がないかもしれませんが、一応抗議しておきたいところです。
まあフィアー・インクに申し込んだと言っても、「予約が一杯なのでムリ」と断られたわけなので、それにも関わらず襲ってくる正体不明の男たちはリアルに不審者扱いされても当然です。
ノリノリで楽しもうとするジョーをウザがる友人他3名の反応は至極真っ当なのですが、
どうも巻き込まれただけの被害者にしては一部反応がおかしい。
↑「ソウ」をパロった恐怖演出シーン。
これでもまだ画面が明るい方です。
ここで友人の手首を切り落としたり、腹をかっさばいたりするわけですが
スプラッター描写がチープなのは「ゲームだから偽物」のせいなのか
「本作が低予算だから」なのか観ている側には全く判断できません。
こういう騙しのやり口はちょっとズルイんじゃないですかね…
正体不明の男たちはあまりにも本格的すぎる演出でリアルに暴力行為を働いてくるため、
ジョーは次第にこれが遊びではなくリアルなんじゃないかと思い始め、
ついに襲撃者を絞め殺してしまいます。
この手の作品を観てていつも思いますが、あまりリアルにドッキリをやると
マジで反撃することも普通にあり得ますよね。
私も何者かに襲われたら、逃げるよりぶん殴ろうとするかもしれません。
…勇敢だからとかじゃなくて逃げ足が遅いので。
そこで実はジョーが電話したせいでこうなったのではなく、
友人たち3人がサプライズ的にフィアー・インクに依頼済みだったんだよ~とネタばらし。
でもジョーがフィアー・インクの社員を殺しちゃった…どうしよう…
という感じで今度は死体の隠ぺい工作に走ったり、実はまだゲームが続いていたり。
とまだまだ二転三転していきますが映像的には暗くてよく見えない中モゾモゾしてるだけなので、特に緊張感とかスリルもなく、淡々としています。
二転三転するといっても、結局ゲームかリアルか、の2択なので特に予想を上回るほどの展開やラストシーンが観られるというわけでもなく無難な作り。
そうめんで包んだおにぎりの芯にパンが入ってたような味の映画でしたが、
一応腹の足しにはなったので良しとします。
もし目が肥えている人が観ちゃったら「この映画を作ったのは誰だ!!」とぶちギレること必至でしょうが、普段からC級映画を観慣れている人なら全然楽しめるクオリティなのでその手の人はどうぞ。