製作:2006年アメリカ
発売:ソニー・ピクチャーズエンターテインメント
全世界感染。突然の死は、空からやってくる―恐怖のモンスターパニック・ムービー!!
(ジャケット裏より)
私が鳥好きであることはこのブログでも時折書いてますが、鳥を題材にした映画というのは案外少ないものです。しかし、たまには可愛い鳥が出てくる映画が観たい…という欲求が頭をもたげてくることがあり、今日はこんなものをチョイス…
…したのですが、本作における鳥の出演時間はおそらく1~2分程度。オープニングで渡り鳥とニワトリがちょっと映っただけで、あとは鳥の出番は全くなし。そんなこったろうとは思ってましたけどね。
では何なのかと言えば、人にも感染する強力な鳥インフルエンザがアメリカに広まったらどうなるのか?
というパンデミック系のパニック映画でした。
鳥インフルエンザというものが出てきて以来、野鳥と触れ合ってはいけないという風潮が強くなりました。私は外を歩いていてハトを見かけるとどうしても撫でたくて追い掛け回してしまい、傍から見ると挙動不審になってたりします。時々エサをやってるオッサンを見かけますが、非常にうらやましい。私もハトにエサをやってみたい。しかしフン害のため大抵の場所では迷惑行為扱いなので、表面上は常識人を装っている私には許されざる行為なのです。
ハトにエサをやるというささやかな欲望すら満たせない人間社会にいったい何の価値があるというのか?
とにかくハトはエサをやらねば私には見向きもしてくれないので、他の鳥に頼らざるを得ません。となると、最も手っ取り早いのはカラスです。といってもカラスにもエサをやるわけにはいきませんが、繁殖期に公園などを歩けば子育て中のカラスが襲撃してきてくれます。襲撃と言っても直接攻撃してくることはめったになく、こちらの体スレスレを飛んで威嚇してくる程度なのでむしろウェルカムなのです。羽が掠った時など最高です。
ただ、これも期待しながら歩いているとかえって襲って来ません。来る時は確実に背後から不意打ちです。それでも最近は私のカラスウェルカムオーラがあまりにも強すぎるのか、襲撃されることがなくなってしまいました。つれない奴らです。
まあハトやカラスよりはスズメの方が安全でかわいいですね。しかし、スズメはスズメで一部で「空飛ぶネズミ」とか言って差別する人がいます。いや、ハトだったかな。どっちにしてもこれは全くバカな話で、そもそも毎日石鹸で体を洗っている野生動物など存在しません。潔癖症の文明人基準で言えば野生動物は全部バッチイものです。スズメだけが特別汚い理由など一つもありません。
唯一最大の問題は私に全然近寄ってきてくれないということだけです。
向こうから寄って来る野生動物は実際のところキツネだけですが、あれはちょっと怖くて触れない。可愛くないこともないけど怖い。寄って来るってことはエサをやる不心得者がいるんだろうなー、といつも思いながらキツネから逃げてます。追い求める者は逃げ、そうでない者は追って来る。人生ままならないものです。
キツネはともかく、わざわざ野鳥と触れ合おうとしなくてもインコを飼ってるんだったらそれで満足しろよという意見もあるでしょう。むしろ野鳥なんぞに近寄って万一変な菌でも持って帰ったらヤバイ。それこそ鳥インフルなど持ち帰ってしまったらインコに感染して悲惨なことになるかもしれません。それは全くその通りです。しかし実際のところ、その辺のカラスやハトでも私にとっては魅惑のボディ。眺めるだけでは満足できない渇望を呼び起こしてやまないのです。
それはそれとして本作の話ですが、特に主役っぽい人がいるわけでもなく、政府や専門家、現場の看護師や一般人の家族など複数の視点を切り替えながら進む群像劇となっております。強力な鳥インフルエンザを前に手も足も出ない専門家、ワクチンを確保できない政府、死者が増えて行くのに成す術もない看護師、物資の調達もままならない一般人となかなかリアルなパンデミックぶりを展開。
死者数200万…400万…1000万…2000万…2500万…と被害が増大していきますが、それほど甚大なパニックが起きてる風でもなく、徐々に弱っていく人類の姿が実に淡々と描かれます。
そして事態が収束に至る切っ掛けの一つすら掴むことが出来ず、死者数がただただ増大していきながら何のオチをつけることもなく絶望するだけのエンディング。地味ながらここまで着地することを放棄して飛んで行ったエンディングの映画はそうそうない。最初から最後まで絶望しかないとは。
結論としては、鳥インフルエンザが流行している時代でもなければ観る意味はない映画かと思います。