製作:2013年アメリカ
発売:アットエンタテイメント
犯罪者更生プログラムのため、ミネソタの山奥へとキャンプにやってきた若者たち。しかし、そこには五大湖やロッキー山脈を創ったという伝説の巨人木こりであるポール・バニヤンが棲んでいた。若者たちはバニヤンの相棒ベイブの墓を荒らしてしまったばかりに、巨人の怒りを買ってしまう。
ホラーというよりホラ話であろうポール・バニヤンをネタにした切り株映画です。別に殺人鬼でも何でもないキャラクターだと思われるのですが。
とはいえ私も全然詳しいわけでも何でもないので、とりあえずwikipediaでも見てみようとググってみたら、関連キーワードで「ポールバニヤン かわいい」だの「ポールバニヤン フィギュア」とか出てくるのだがこれは一体何事なのでしょうか。何だか知りませんが開拓時代の巨人木こりも殺人鬼にされたり萌えキャラにされたりとなかなか忙しいようですね。
本作の導入は犯罪者更生プログラムとしてのキャンプです。アメリカのホラーではよく見かける設定ですね。最近だと「新エイリアン 最終繁殖」とかもそんな話でした。しかし毎回思いますがキャンプの何が更生に結びつくと考えられているんでしょうかね。自然と戯れることによって強盗や飲酒運転の反省になるとも思えないし、もしアウトドア好きな犯罪者だったらただの娯楽にしかならないような気がします。まあホラー映画においては山奥で孤立するという状況作りでしかないのですが。
↑鹿を狙っていた大きなクマ。しかし、その背後にはクマをも狙う巨人木こりが。
木こりは肉襦袢+合成ですが、驚くべきことにクマさんは本物です。それでもちゃんと
「本作は動物を傷つけていません」という注意書きが出てくるので保護活動家の方も安心して鑑賞できますね。ちなみに牛はCGで出てきます。
しかしそんなことより、このクマが襲われている危機的状況を心底どうでも良さそうに眺めながら草を咀嚼してる鹿のボゲーとした表情が笑えます。まあそりゃ合成だから当然鹿には何も見えてないんでしょうけどね。
↑本作には公式HPが存在するので一応見に行ってみたんですが、どうやら…というかやはりインディーズ映画だったようです。それにしてはバニヤンの登場シーンはかなり多くてありがたい限りです。このチープな合成感がたまらない。スプラッター表現も実に遠慮がなく、この巨大な斧によって首チョンパはもちろんのことタテにもヨコにも真っ二つとまさに人体切断カーニバル状態。こういうのでいいんだよこういうので。木こりなんだから切り株を量産してもらわないとね。
ハラワタが飛び出てるのに何事もなかったかのように怒鳴りまくる鬼教官のキャラクターも悪くない。序盤で退場させるには惜しい男でした。というか鬼教官以外の人物が全く印象に残らないのが問題か。犯罪者共の癖に自己主張しない奴らばかりなのが不満と言えば不満ですね。
↑この手の低予算ホラーのバケモノは大体クローズアップでゴチャゴチャ見せることで安っぽさを誤魔化そうとするものなんですが、本作は珍しいほどロングショット多めで見せてくれます。
「安っぽいのではない、安いのだ!何も誤魔化すことなどない!」という堂々とした姿勢こそがB級映画製作者に必要なものなのだと改めて思わされます。見えないストレスを最小限に。その実直さの前には、肉襦袢のチープさも合成の不自然さすらも美点となります。好事家はヘボいものをジックリ観たいんです。
商業映画のつもりで鑑賞してしまうとビックリするほどダメな映画だと評価してしまいそうになるかもしれませんが、自主映画であると思えば素晴らしい切り株を堪能できるナイスなスプラッター映画と言えるでしょう。切り株映画が好きな人、またはポール・バニヤンがかわいいとか思っている人にオススメです。