ドント・スリープ　蘇る悪夢　感想（ネタバレあり）

製作：2017年アメリカ
発売：プルーク

子供の頃、訳の分からない悪夢に悩まされていた過去を持つ男ザック。しかしそれも無事に治り、恋人と同棲しながらロースクールに通う充実した日々を送っていた。ところが懇意にしていた大家さんの父親が暴漢に襲われる事件が発生し、ザックは再び悪夢に侵食されていく。

「ドント・スリープ」…ってちょっと前にも同じ邦題の金縛りホラー映画がありましたね。そっちは原題が「Dead Awake」でしたが、「ドント・ブリーズ」に便乗した形になっていました。便乗作とはいえ実際に「寝てはいけない、寝ると死ぬ」というテーマだったのでそんなに違和感のない邦題ではありました。

本作は原題からして「don't sleep」なので堂々と便乗出来たわけですが、別に寝てはいけないという恐怖とかなんもなさそう…どころかホラー映画かどうかも怪しい内容。いや、スピリチュアル系恋愛ファンタジー映画と言った方が正しいのではないか。この手のジャンルには超疎いので間違ってるかもしれませんが、多分「トワイライト」とかの仲間なんじゃないかな…。正直かなりゲンナリしました。
どうしてわざわざＢ級ホラー映画マニアにこういうのを見せようとするのでしょうか？やっぱ悪食だから？

ストーリーは、幼い頃に離人症と診断され悪夢に苦しんだ青年ザックが、その記憶を忘れて順風満帆な生活を送っていたのに再び悪夢に苦しめられるというものですが、まずその悪夢っていうのが全然大したことない。なんか黒いフードを被ったゾンビみたいな顔色の悪い男がボコスカ殴って来るという感じで、それが現実になっていくわけなんですが、何しろ弱そうだし被害も被害者も少なすぎる。

序盤で向かいに住んでいる大家さんの父親がボコられ、なぜかその後首吊り自殺。
中盤でザックが殴られ、頭にタンコブが出来る。
後半で泊まりに来た友達が絞殺される。
…と、たったこれだけ。

ホラー映画だと思って見ていた人にとってはとんでもない肩透かしを味わわされるでしょう。黒いフードの男にボコられた人の家族がノイローゼ気味になっていく様子が無駄に丁寧なのですが、最後まで観ると別に必要無かったとしか思えない。彼らは一体何にそんなにビビっていたんでしょうか。勿体ぶってただけですか。
あと後半で助けに来てくれた友達はすごく良い奴なのに大した描写も理由も無くアッサリ殺されてしまうのが実に納得いかない。何のためにこれらの展開があったのかわからない。

あとは大体ザックが恋人とイチャイチャしてるのを見せられます。最初から相思相愛だしなんかもう勝手にやってくれという感じです。

悪夢を見る原因を探るために母親を問い詰めたり過去の主治医に会いに行ったりとサスペンス的な展開になるのはもう終盤に入ってからで、恐ろしく呑気なペースの映画です。しかもどんな秘密が隠されているのかと思いきや、突然ダークファンタジーな世界になって色々とウヤムヤな感じでケムに巻かれます。結局なんも解決してないし一体何の話だったんだ。

お前が黒幕なのかよ！？　という意外性だけはありますが、いきなりキバを生やされても誰もついていけないでしょう。ファンタジーはいいけど、どこの世界の話だったのこれは。ゲオはこんなものを喜んで先行独占レンタルしてどうするのかと思う。借りる方は誰一人喜ばない気がします。おそらくゲオも中身観てないんじゃないかとは思いますが。どんな商売だ。

ということで、ダークファンタジーな恋愛映画が大好きな人なら暇つぶしにはならないこともないかもしれませんとだけ言っておきます。