製作:2018年アメリカ
発売:インターフィルム
モトクロスレーサーのマイルズは、ライバルの陰湿な罠にハマり人里離れた荒野に置き去りにされてしまう。そこに、謎のロボット犬が襲撃してくる。それはアメリカ軍が秘密裏に開発していた、途方もない殺傷力と犬の忠誠心を兼ね備えた究極の殺戮兵器であった。
どうせB級だろうと油断して観たら、意外にもCGの出来は上質だし、主人公マイルズの父親役でトーマス・ジェーンが出ていたりとメジャーっぽい雰囲気。ただ話のスケールはかなり小さく、突っ込みどころがあまりにも多すぎてもはや細かいことを気にしながら鑑賞するのは不可能。というより、小中学生あたりの年代をターゲットに作られてる感じです。汚れた心を持った大人が一人で観るようなもんではなかった。まあZ級映画を観るよりは有意義かもしれませんが。
アメリカ軍の秘密兵器アクセルが犬型ロボットで、それが勝手に逃げ出してマイルズと出会う…というところまではいいです。
しかし、初めはアクセルに襲われたにも関わらず慈悲の心全開でアクセルを修理し愛情を注ぎ始めるマイルズの姿はどう見ても異常者です。それとも異常なのは私の方なんでしょうか?
見た目がもっとナマモノっぽい犬型生物兵器だったらまだ情が移るかもですが、あんなメカメカしいロボット犬でそれはちょっと…。AIのプログラム次第ではぶっ殺されていたわけですし。そのうえ「飼い主に返すのは嫌だ」とダダをこねるとはどういう了見なのか。全然ついていけません。
というわけで、個人的に主役コンビは割とどうでもよく。その代り気になったのはこういうジャリ向け映画には欠かせないジャイアンとスネ夫をミックスしたかのようなこの悪ガキです。名前忘れたけど。
↑親のコネと金の力を使って地元のモトクロスレース界を牛耳り、夜な夜なパーティを開いては火炎放射器で汚物を消毒しているナイスガイ。自分ちの家政婦の娘が気になっているが、自分になびかず貧乏人のマイルズと付き合ってるのが妬ましくてたまらない。このシーンは嫉妬に狂った実に良い顔をしている。何か一つぐらい良いとこがあってもいいと思うんだが全く持って何もないところにアメリカ人の国民性を感じます。「100%」って何だよ。
ありあまる財力、雇い主(親が)という立場にモノを言わせてマイルズと家政婦の娘を引き離そうと嫌がらせをしまくりますが、アクセルにエネミー認定されボコボコにされかけます。
アメリカ軍最強兵器のとてつもない脅威を目の当たりにしたことで、さすがの100%君ももうマイルズには手を出せないだろう…
↑と思いきや、まだ諦めていなかった。というか、どこまでこのクソガキを引っ張るのか。
アメリカ軍最強兵器アクセルを巡る、シールズやらデルタみたいな最強追跡部隊との手に汗握る戦闘が見所なんだろうなと思って期待してたんですが、どうやら本作のメインディッシュはアメリカ軍ではなくあくまでもこのクソガキとのイザコザのようです。スケールちっさ!
…とはいえ、なかなかいい口角です。
いかにもドス黒い欲望が満たされてるという感じが出てて良い。
何をしてるかと言うと、パーティでいつも使ってる火炎放射器を持ち出し、なぜか無抵抗のアクセルを火炙りの刑に処しているところです。
しかし、とんでもなく凄い兵器とか言いながらこんなクソガキにあっけなく燃やされてしまうアクセルはちょっとポンコツすぎやしないか。殺戮マシーンとか言っておきながら殺戮する気配がまるでない。本当はただのアイボ的な愛玩ロボットなんじゃないかという気がしてきます。3Dプリンターで修理した後、このクソガキに復讐しに行こうとするのはいいが結局追いつめただけで何もしませんからね。ハラワタぶち撒けろとまでは言いませんが、せめて骨の2,3本は折っておくべきじゃないかと思うんですがね。そこも含めて悪役の役割ですからね。
と言う感じで私は無理やり楽しみを見出しましたが、別に悪い映画ではないので犬好きな人なら普通に楽しめるかもしれません。