製作:2018年アメリカ
発売:アルバトロス
兵器会社アモテックで働く経理マンのデズモンドは、遅刻常習犯でサボリ魔のリストラ候補だった。ある日いつも通り遅刻して出社すると、社内で大暴動が起こっていた。試作品の兵士用エナジードリンク「ゾルト」を飲んだ社員が凶暴化していたのだ。
大企業に勤めるサラリーマンが社内で凶暴化して大殺戮を繰り広げるという、去年公開の「ゼット・インク」と何から何までそっくりなB級映画。
こういう映画が量産されてるってことは、アメリカのサラリーマンも相当ストレスを溜めているようですね。日本より労働環境は良さそうなイメージがあるんですが、そうでもないんでしょうか? ちなみにWSJによると、向こうでは財務力が強いのに給料が安い企業ほど社員の抱える不公平感も強くなる傾向があり、従業員満足度が低くなっているとか何とか。なので、財務力がぱっとしなくても底堅く安定している普通レベルの企業が精神衛生上は一番いいらしいです。
まあそんなことはともかく本作は「ゼット・インク」のパクリには違いないんですが、それよりも遥かに面白かったです。
「ゼット・インク」では確か凶暴化ウイルスが社内に蔓延したとかで、主人公も一緒になって凶暴化して暴れまくるスプラッターアクション寄りの作品でしたが、本作の場合主人公デズモンドは遅刻サボリ魔ゆえに試作品エナジードリンクを飲むことなく出社してしまったため、完全巻き込まれ型でコメディ色の強い作風となっております。
↑アメリカの大企業って…いや日本も大きいところはそうなんでしょうけど、こういうパーティションで区切られたデスクで仕事出来るのが非常にうらやましいです。デズモンド君も仕事そっちのけでゲームアプリ作ってますしね。
それに比べ、私の職場にはパーティションなどあるわけもなく、しかも私はぺーぺーなのにどういうわけか隣の席が役員なので常に厳しい監視の目にさらされており、ゲーム製作どころか気の休まる時が全くありません。一体どうやってサボればいいんでしょうか? サボらなければいいだろと言う人もいるかもしれませんが、1日に8時間も集中して仕事をやれる人間がどれほどいるというのでしょうか。私の持論では人間が1日のうちに本当に集中できる時間はせいぜい2時間が限度です。
「無職に乾杯しようぜ 会社なんてクソだ」 ↑同じアモテック社で働く幼馴染のサムを助けに行ったら、彼女は既にゾルトを半分だけ飲んでしまっていた。ゾルトの強化力は凄まじく、自己を発狂寸前まで追い込む荒行をこなさないと習得できないようなアクロバチックな蹴り技で攻撃してきます。動きだけでなく罵倒もなかなかユニークで、
「乳首をちょん切ってピザに載せてやる!」
には笑わせて頂きました。他にも「スポンジみたいな脳みそで何とかしようとするな」「軍事企業で暴力はよくない」「ケツがかゆい」など全体的にセリフに笑いのセンスが溢れており実に感心しました。 ↑ラスボスはジャケットにも載ってますがパワードスーツを装着した経理部長。地雷やらマシンガンやらを使い放題なうえにこんなトンデモ兵器まで出せるんだから兵器会社という設定はうまいもんですね。そういやアルトリアと合併するとか何とか言ってましたが、やっぱあのタバコ会社ネタだったんでしょうか。
あと「ゼット・インク」とは違って最上階にいる社長や役員がラスボスなのではなく、あくまでデズモンド君の直属の上司なのも良いです。本来は生ゴミなどの有機物をエネルギー源とするエコな兵器なんですが、社員の肉を食って補給し出すのも面白い。腕一本と言わずもっとモリモリ食ってくれたら良かったのに。
というわけで、あまりにも馬鹿馬鹿しく下品で不謹慎で頭カラッポなうえに丸パクリというひどすぎる作品ですが、滅茶苦茶面白いです。ストレスを溜めているサラリーマンは今すぐレンタルすべきかと思います。