製作:2018年アメリカ
発売:ハピネットピクチャーズ
銀行から2000万ドルが強奪される事件が発生。犯人グループは仲間割れの末、マクドナルドという男が重傷を負って記憶喪失の状態で逮捕された。7年後、3人の男女がマクドナルドを脱走させ、彼が隠した1500万ドルを手に入れようと記憶の復元を試みる。
テレビ東京が出資してこしらえたとしか思えないほど「午後のロードショー」にピッタリすぎるB級サスペンスアクション。スタローンの吹き替えが玄田哲章なのは少し違和感ありますが、それ以外はもうここまでやるかってぐらい完全にテレ東のための映画でした。
くそつまらないってほどダメな作品でもなく、何となくダラダラ観ていられる程度には続きが気になる展開。主演扱いの割りに出番は少ないスタローン。もうおじいちゃんだから大して動かないスタローン。でも現役の刑事役のスタローン。主役じゃないけど補正で弾が全く当たらないスタローン。そして最後に不自然にカッコつけすぎて異常におかしなことになっているスタローン。
何が言いたいかと言うと、本作は純然たるスタローンのオレ様映画ってことです。
私はオールタイムベスト1に迷わず「ランボー 最後の戦場」を挙げるような人間なので別にそれでもいいんですが、問題なのはスタローンの総出演時間が10分ぐらいしかないことです。
つまりスタローンはストーリー上はいてもいなくてもいいような激しくどうでもいい脇役(捜査の指揮を執ってる雰囲気は出してるが具体的にはほぼ何もしない刑事役)でしかないのに、自己主張があまりにも激しすぎて全体の調和をぶっ壊してしまっています。特にラストは著しく斜め上です。
とはいえ、ぶっ壊れていても特に惜しいとも思えない程度には本筋もイマイチなのでトータル的にはテレ東クオリティに収まってる感じ。
その本筋は、金を隠して記憶を失った銀行強盗犯マクドナルドが見知らぬ男女に連れ出され金のありかを思い出していくというもので、まあ日本のサスペンスドラマとかでも普通にやってそうな感じで特に目新しくも無いです。マクドナルドは犯罪者ですが、一応主人公なので悪党という感じではなく家族思いの優しいおじさんとして描かれます。
※以下、ラストのネタバレです。気にする人がどれくらいいるか知りませんが、ここだけはどうしても突っ込んでおきたい。
で、マクドナルドたちは何やかんやあって金を見つけるんですが、同時に勘がいいと評判のスタローン刑事にも見つかってしまいます。
銀行強盗事件から7年もこの事件を調べていたスタローン刑事。
当然、強盗犯たちを逮捕するべき場面なわけですが…
「7年も耐えれば充分だ。代償は払った。金を持って逃げろ。あとのことは俺に任せろ」
てな感じのことをのたまいます。
いや~、何それ??っていうレベルじゃねえんですよ。
お前は何のためにこの事件をずっと追って来たのかと。
たった7年ガマンするだけで1500万ドルもらえるなら私だって銀行強盗ぐらいしますよ。実質手取り年収200万ドル超じゃないですか。どこが充分なんだよ。おいしすぎるわ。
まあ、そこで逮捕しちゃったら何となく後味悪くなりますからね。逮捕したくないのは分からんでもないですがね。見返りを要求しないどころか追手がかからないようにしてくれるとかいくらなんでも聖人すぎるでしょう。マクドナルドと何か絆的なものがあったんなら別ですけど、なんも関わりないし。スタローンは一体どんだけカッコつけたいのかと。
あと、さんざん資金洗浄しないと強盗した金は使えないって言ってたのに、結局やってないのはどうしたことか。もしかしてそれも含めて「任せろ」と言ったのか?
というか、ただハッピーエンドにしたかっただけなら、そもそもスタローン刑事が出てこないでそのまま逃亡成功してれば良かっただけなのでは?という気がしてならない。スタローンはわざわざよけいなツッコミどころを作りに出てきただけになってるんですが。いいのかそれで…
…ということで、ネタバレしてしまいましたが、たぶんいい感じに記憶が薄れているであろう半年後くらいに午後ローで放送されると思うのでその時にでもご覧ください。
1. 無題
スタローンネードとか、ダブルヘッドスタローンとか…
Re:無題
サメの配合率からそんな悪魔的アイデアが出てくるとは、なかなかやりますね。この映画の邦題も80年代だったら「生体兵器アトミックスタローン」だったかもしれませんな。