製作:2012年アメリカ
発売:ハピネットピクチャーズ
妻と幼い娘を無残に殺され、半死半生の目に遭わされた男ジョン。昏睡から目覚めたジョンは、その犯行グループのリーダーがリュック・デュブローという元兵士の男であることを知らされる。復讐のためか、曖昧な記憶を取り戻すためか、ジョンはリュックを追う。
昨日観た「
レイク・モンスター」があまりに消化不良すぎたので、今日はしっかり彼らの闘いが堪能できる映画にしようかなと本作をチョイス。
「ユニバーサル・ソルジャー」と言えば、ジャン=クロード・ヴァンダムの代表作であり、本作はそのシリーズ4作目…ではありますが、旧作はほとんど記憶にありません。
1作目はベトナムで戦死した兵士リュックがサイボーグ兵器として蘇生される…という結構悲惨でシリアスな話だったような気がしますが、正直「シートベルトはしっかり付けないと事故った時に死ぬ」という教訓だけが強く印象に残ったシートベルト映画でした。
2作目「~ザ・リターン」は悲惨な境遇の戦闘マシーンであったはずのリュックがなぜかストリップ劇場を舞台に、ノリノリの笑顔でマイケル・J・ホワイトに回し蹴りをぶち込んでるようなものすごいバカっぽい映画でした。確か。
この1作目と2作目の異様なギャップが印象に残りすぎてて、3作目「~リジェネレーション」はどんな映画だったか完全に忘却。恐ろしくグダグダに迷走しているシリーズものと言えます。
そんな軽いノリで本作を観始めると、リアルなバイオレンス描写に度肝を抜かれました。ジョンが謎の武装集団に襲われ、惨たらしく妻子を殺害されてしまうプロローグがいきなりドギツい。本作の主人公ジョン役はスコット・アドキンスであり、リュック役のヴァンダムはなぜか悪役になっているとは知ってましたが、小さな女の子をも容赦なく殺害してしまうリュックに驚愕。
これはどう見ても悪のカリスマ。
2作目でのチャラけたノリと笑顔の彼は一体どこへ?
と思いましたが、どうも2作目は無かったことになっているっぽいです。断りなく黒歴史にされてもなあ…。
なので、シリーズものと言えどむしろ旧作を見ている人にとっては余計な先入観が邪魔になる映画でした。最後までそれが引っかかってしょうがなかった。旧作を見てない人はそのまま、まっさらな状態で観た方が良いです。
それはそれで「ユニバーサル・ソルジャー」って何なん? ってことになりかねませんが。というか、私もわかりません。とりあえず本作における「ユニ・ソル」とはどうもベトナム戦死兵を復活させたものではなさそうな気がするんですが。
設定もストーリーも曖昧なまま、セリフによる説明もほとんどなく、映像だけで心情を表現し…っていうかなりストイックで監督の作家性が前面に出ている高尚な雰囲気。暗く、重苦しい。そしてバイオレンス描写がやたら激しい。流血といい部位欠損といい完全にスプラッター映画並みの痛々しい人体破壊。スコット・アドキンスは期待通りその類稀な身体能力と華麗な技を披露してくれますが、このダメージ描写ではさすがにスカッと爽快な格闘アクションとはいきません。ノリのいいBGMを流すどころか、虫の羽音のようなノイズで暴力の不快感を強調しているくらいです。
いつもの脳筋アクションを期待していた身としてはその異様さに戸惑いを隠せませんが、これはこれで悪くない。というかむしろ良い。
↑ストーリーも考察しがいのある深みを感じますが、まあそれは置いておいてまず私が観たかったのはこれ。スコアドとラングレンによる、主に刃物を使用しての切り刻み合い。ものすげえ痛そうで素晴らしい。この前にドリルで頭に穴開けられてるし、R18も納得の血みどろ残酷ファイトがたまらない。生半可な傷では死に至らない超人兵士ユニソルなので、決着の仕方がまたエグ味たっぷり。「レイク・モンスター」の欲求不満を解消して余りある激闘に私も大満足。
ということで、かなり尖っているのでだいぶ好き嫌いが分かれそうな映画ではありますが、クオリティは非常に高いので興味のある方はとりあえず観てみることを勧めておきます。