製作:2016年カナダ
発売:トランスワールドアソシエイツ
なぜか殺し合いが行われている豪邸で目覚めた男・チー。胸に光るカウンターが付けられており、「104」という数値が表示されていた。なんとチーは3人で転生を繰り返しながら累計108人を殺害するまで脱出できない「108人殺害ゲーム」に巻き込まれていたのであった。
「スリー・キラーズ」…3人の殺し屋?
いかにも市街地でクライム的なドンパチアクションを繰り広げそうなジャケットですが…
実際はずっと家の中で、たった3人で延々と繰り返し殺し合う様を描いているかのようなデスゲーム的な何かです。
主役が中国人で、中国語でしゃべりまくっているのでどうもカナダ映画というより中国映画にしか見えない。今後はこういうの増えそうですね。で、その主役もアジア人としては相当マッチョで感心したのですが、さすがにこのジャケ写真の筋肉は盛りすぎではなかろうかと。どこのボディビルダーなのかと。
さて、その豪邸内で繰り広げられる謎のデスゲームの概要ですが、
なんと参加者がたったの3人しかいないのに
「108人殺害するとクリア」
だそうです。
つまり同じ人間を何度も殺す必要があると。
3人でバトルロイヤル戦を行い、勝利した者は別次元の次のステージへ進むことが出来るとのこと。
ただ、次のステージと言っても舞台は全く同じ家の中だし、参加者はずっと同じ3人なので相手もまた全員一緒。そんで記憶を引き継ぐのは勝利者だけみたいです。でも全勝しないかぎりはどっかで記憶が途絶えてリスタートってことになりますかね。
テレビをつけると過去の殺し合いを鑑賞できるというボーナス付き。
さらに、殺した人数分の歩数だけ外を歩くことが出来るスペシャルボーナス有り。
おお、なんて楽しそうなゲームなんだ…
↑…と言いたいところだが、どう考えてもクソゲーです。
108は煩悩の数だから何なのか知らんけど、殺害の対象となる相手がたった2人しかいないのに108回も殺れだなんてゲームだとしても作業的すぎませんか。せいぜい5回ぐらいで飽きますよ。
そしてこの手のデスゲーム物では、しっかりルールを順守して勝利を目指す主人公像…というのを観たことがありません。大抵の主役は愛に目覚めて抜け道を探し出し、ゲームの枠を飛び越えて主催者との戦いにもつれ込むというのが一般的な展開です。
本作もそのお約束に違わず、粗暴でいけ好かないクサレボンボンだったチー君は愛するブロンド美女クリスティーンと共にゲームを脱出するため「もう殺し合いはしない」とか何とか抜かし、武器を捨てはじめます。これはやめてほしい。
わざわざデスゲームで愛を表現しようとすんなと。
しっかり最後まで殺し合ってくれよと言いたい。
それももう105人も殺してるんだからあとたった3人だろうが!いいから殺れ!と強く言いたい。そんだけ殺っておいて今更どうして愛に目覚める必要があるのか?
で、参加者3人のうちチー君とクリスティーンの間には愛があるとしても、もう一人のレイノ君という黒人に関しては悲惨という他ありません。このクサレカップルと何の関係も無いし何のために参加させられたのか全く分からない。いや、「殺され役」という立派な役割があることはあるけど。身体能力に恵まれた黒人であるにも関わらず、クサレボンボンの筋肉の前には何度も何度も無惨にブチ殺されるばかり。何か違う意図を感じ取ってしまいそうなぐらい戦力差がアレです。本当に何でレイノ君はこのデスゲームに巻き込まれたのか。
たまたま絡んじゃったから…としか受け取れない雑な描写が悲しい。
つーかそもそもこの変なデスゲームは一体何だったのか。主催者は誰なのか。目的は。
終盤で何となく明かされますが、そこら辺死ぬほどテキトーでした。そもそもこの超常現象は一体何なんだよ。何もわからん。主催者も時空を操れる異次元人とか未来人じゃないと変だし。
これなら夢オチで締めてくれた方がまだ良かった。
「いや…あのクサレボンボンが自分に打ち克ち、愛に目覚める過程を描きたかったんだ!」
って製作者は言いたいんじゃないかな…とは思いますけども。
ということで、そこまで酷すぎるわけではないがおすすめはしかねる系の変な映画でした。