製作:2016年アメリカ
発売:トランスワールドアソシエイツ
ムショ上がりのヤク中女ブレアは、幼い娘と面会するためにフルタイムの職に就くことが求められていた。元旦那の妻のススメで洞窟のツアーガイドに採用された彼女は、洞窟の中で出会った魔女に魔物を呼ぶ呪いの印を刻まれてしまう。
いきなりですが風邪を引いて体調を崩してしまいました。一応、魔王島…いや麻黄湯を飲んで一晩寝たら熱は下がったのですがまだ体が怠く、出かける気にもなれない。
そんな休日こそ、どうでもいい低予算映画をゴロゴロしながら眺めるのが賢い過ごし方ではないでしょうか。といっても体力を消耗するほどのクソ映画を引くわけにはいきませんが、幸い本作は病み上がりの体にもスッと入って来る、のど越しの良いクソ映画でした。
ストーリーは限りなくどうでも良い内容で、変なところに就職しようとしたヤク中金髪ビッチが魔女に呪いの刻印を押され、魔物が寄って来る体質になってしまったので大斧でそれらをなぎ倒すという感じです。なんかちょっとベルセルクのガッツみたいな設定ですね。
特に、武器が大斧ってところが…
…いや、よくよく思い返すと大斧なんぞ一度も使ってなかった。
「華麗に斧を振り下ろす!」
とか宣伝しながらジャケットで堂々と持ってるのでなんか本編でも斧を振り回してたような錯覚に陥ってしまいましたが、実際はバットとかハンマーでした。
わざわざ斧に改変する必要がどこにあったのだろうか。
別に華麗でも何でもなくて慣れてない餅つきみたいな振り下ろし方だし。
まあジャケ絵でバットを構えてしまうと怪奇野球映画と誤解されてしまう恐れがあったのかもしれません。そっちの方が面白そうに見えて回転率が上がるんじゃないかという気もしますが。
↑しかしながらクリーチャーの造形にはそこそこ力が入ってます。これは手の平に目玉が付いてるヴェノムみたいなやつ。いや、私は「ヴェノム」はポスターしか見てませんが。
人間をガリガリサクサク食べるコイツといい、今どき珍しい走れないゾンビの腐り加減などもなかなか悪くはない。
しかし、そんな魅惑的なクリーチャーを差し置いて、本作最大の敵として立ちはだかるのはただの人間の殺人鬼です。
呪いの刻印は地獄のクリーチャーだけではなくとにかく邪悪な者を呼び寄せるってことらしいですが、せっかく「ダーク・ファンタジー・アクション」とか謳ってるのに、単なる殺人鬼をメインにしなくてもなあ。
まあ、殺人鬼とのバトルはそれなりに楽しめなくもないです。それなりに。
そして満を持して現れる、地獄のクリーチャー側の大ボスは変なヨロイを着込んだ顔色の悪い老人。正直全く強そうには見えないんですが、
「改心したという自惚れは極上のスパイスとなる」
なんてことを繰り返しのたまっていて、グルメなゴッドハンド的ポジションを気取っているものの、至極あっさりとヤク中ビッチにハンマーで頭を砕かれるという無惨な肩透かしっぷりを披露。
ラスボスのくせにそれまでの敵の中で一番弱かった。まあそういうゲームもありますけどね。映画ではあんまり見ないパターンですね。
自分が捕食者だと自惚れていたという哀れすぎる末路。
まあそんな感じで金髪美女がちょっと出来の良いクリーチャーやオッサンをバットやハンマーで殴り倒していくだけのほのぼのバイオレンスファンタジー映画ですが、79分と短くまとまっているので…いやまとまってはいないけど、それなりに気楽にご覧になれるかと思います。