製作:2018年アメリカ
発売:インターフィルム
大手レコード会社のオーディションを控え、乱痴気パーティや借金取りとの銃撃戦に明け暮れていたラッパーのチャム。ある日、同居人の生物オタクが飛行機から落ちてきたヘビにビッグライトを当てて巨大化させてしまう。コンプトンの街を蹂躙する巨大ヘビを相手に、チャムはラップバトルを挑むのであった。
「ストレイト・アウタ・コンプトン」というラッパー伝記映画のパロディらしいですが、私はあまりラップに興味が無いのでそんなの観たことないしパロネタも分かりません。
そんな人間がこの映画を観ていいのかという心配はありましたが、一応モンスターパニックでもあるのは間違いないので見逃すことはできなかった。監督はバイオ殺人熊の脅威をヘボいながらもシリアスに描いた「アンナチュラル」の人です。そちらとは打って変わって本作は三日三晩酒を浴びるように飲み、危険ドラッグをこれでもかと乱用しながら完徹した直後に勢いで作ったとしか思えない、悪ふざけに満ち満ちたC級ポンコツカス映画(褒め言葉)でした。
本作、パニックを起こしている飛行中の旅客機からヘビが落ちてくるという、まるで「スネーク・フライト」のスピンオフのような始まり方をします。さらにそのヘビと最初に遭遇する刑事コンビが「トレーニング・デイ」の濃いパロディキャラでしかもそれを終盤までずっと引っ張ったりと他作品のネタが割りと多めに入ってます。だから何ってこともありませんが、そこは全体的に薬物中毒者の妄想のような本作の中では何とか理解できる部類の笑いの取り方と言えます。逆に言うと元ネタが一つも分からずラップやヘビにも興味が無い人が本作を鑑賞するほど無駄なことはありません。
↑生物オタクの怪光線で巨大化したヘビ。別にヘビでなければいけない理由もタイトルの語感以外に何もないと思うし、CGはギリでPS2初期レベルはあるかなという程度の酷さ。ヘビ人間とかヘビゾンビといった派生モンスターの方が面白いが、そっちは忍者退治ぐらいしか見せ場がなく物足りない。
↑巨大ヘビを駆除するためアメリカ空軍が緊急出動。
しかしこのストレートにしょうもなさすぎるコールサインには不覚にも笑ってしまいました。
↑エアライトセイバーで巨大ヘビとチャンバラしようとするデンゼルっぽくない悪徳刑事。コイツは主役を喰いかねないほどの存在感があります。にしても、どうして「トレーニング・デイ」ネタがここまで中核に据えられているのか全く分からん。地味で真面目な社会派映画だったような記憶があるんですが、意外とラッパーに人気があったりするんでしょうか。
↑クライマックスはラッパーのチャムと巨大ヘビによるラップバトル。
まあ、別にヘビは歌いませんが。ラップでディスって無力化してしまおうという話のようです。そこまでやるならもうヘビのターンを用意してあげても良かったと思う。
あまりマトモな人にオススメできる映画とは言えませんが、泥酔しながら眺める分には現実からより遠いところへ意識を飛ばすのに役立ってくれる薬物のような存在かなと思います。そう考えると、本作を必要としている現代人は決して少なくないのではないでしょうか。