製作:2017年オーストラリア
発売:プルーク
オーストラリアの片田舎の農村に突如超巨大イノシシが出現。
村人たちを次々と血祭りに上げていく。
…というだけの頭カラッポな映画。実に素晴らしい。珍しくGEO先行レンタル品としては良作の部類に入ると言っていいと思います。
アニマルパニックではイノシシが主役の映画というのは結構珍しく、おそらく「レイザーバック」と「人喰い猪、公民館襲撃す」ぐらいしかありません。そういや「レイザーバック」もオーストラリア映画ですね。それだけオーストラリアではイノシシの脅威が身近なものなのでしょう。
しかし本作は被害者のやられっぷりがかなりエグイのでアニマルパニック映画というよりはスプラッターホラー寄りの作風になってます。主演がネイサン・ジョーンズというスーパーゴリマッチョなのでクライマックスはさぞかし血沸き肉躍る肉弾戦を繰り広げる、明るいプロレス的映画なのであろうと予想していただけにこの陰惨なノリは意外でした。
イノシシは一応草食性の動物ですが、本作のイノシシは人間をモリモリ喰らう超巨大イノシシ。表面がグチョグチョしているのでゾンビ化した生物兵器か何かかなと思いましたが、出自については特に何の説明もなし。家族愛的な人間ドラマもあるようでいて大して何もない。あるのはひたすらイノシシによる捕食活動のみ。人体破壊がメインの楽しみという意味ではやはりスプラッター映画に分類すべき作品かもしれません。
↑娘の恋人に説教しながら歩いていた父親も「すげえ」「なんてでかいイノシシだ」などと感心していた次の瞬間には肉塊に。それまで積み上げていた人物描写を一瞬で水泡に帰してしまう潔さ。
出会った者は女子供だろうが主役級の人物だろうが即刻肉塊に変えていくスピーディな仕事ぶりには感心せざるを得ない。ただ、後頭部から口を思いっきり牙で貫かれた女の子がなぜか即死せずにしばらく生き延びていたシーンは謎でした。どこをどう貫けば生きて話していられるのかしばらく考えてしまいましたが絶対に無理としか思えない。そこら辺はとりあえずグロければOKという志の高さを感じました。
で、そんな恐ろしいイノシシとネイサン・ジョーンズの激闘を楽しみにしながら過剰気味なグロに耐えていたわけですが、意外にもネイサン・ジョーンズはイノシシに手も足も出ない。そこで急にリアル路線になるのかという失望はありましたね。イノシシとの格闘でそんな人並みに苦労するぐらいならわざわざプロレスラーを主役に持ってくる意味もないでしょうに。しかしまあ、腹を刺されて臓物をはみ出しながらイノシシにパンチを繰り出すあたりはなかなか迫力があって悪くありません。
映画には多少なりとも人間ドラマが必要だという人には全く向きませんが、とにかく人が喰われていれば何でもOKと言えるような人、もしくは単に希少価値の高いイノシシ・ホラーを求めている人はすぐにでもレンタルすべきかと思います。