ある好事家の記録 主に変な映画の感想

変わった映画を見つけたらそれを語りたいブログ。  主にモンスターパニック映画、特にサメ映画の感想が多め

スキン・コレクター 感想




「スキン・コレクター」って邦題でこのジャケ絵。
頭のいかれた女殺人鬼が皮膚をコレクションするサイコホラーのようにしか見えませんが、
中身はサスペンス+SF+恋愛と言いますか、だいぶ印象は異なりました。
原題は「Replace」でこっちの方がストレートでしっくりきます。

何にせよこのジャケ絵のようなシーンはまるで存在せず、
アメイジングD.C.は一体どういうつもりでこんな風にしたのか聞いてみたいものです。
皮膚を剥ぐのに斧はかなり不適当なチョイスでしょうよ。



美しい肌を集める女

若く美しいピアニストのキラ。ある日、彼女は指の皮膚が白化し、ボロボロとこぼれているのに気づく。
その病は指だけにとどまらず、全身に広がっていく気配を示していた。
ひとり悩みをかかえるキラは、同じアパートのソフィアと知り合う。同性でありながら魅かれあうふたり。
ソフィアはキラの醜く変貌している皮膚すら心からいたむことができた。
病院を受診したキラは、同世代の女性の皮膚を自らの死滅したそこへ移植すれば再生することに気づく。
最初は遺体安置所の死体から皮膚を採取したキラであったが、やがて連続殺人を犯してそれを求めつづけることになる・・・。

(アメイジングD.C.HPより)




本作はドイツ・カナダ映画ということで、
終始ヨーロピアンでねっとりまったりじっとりとちょいアート映画風に淡々としたムードで話が進行し、時折病的で刺激の強いホラー映像が差し込まれるタイプの作品です。

主人公のキラは指の皮膚が白くガサついてくるという症状に悩み、通院中。
そのうえ1週間以上前のことも覚えていられないという、どっちかというとそっちの方が深刻なのではないかと思われる症状まで患っています。

「男は良い、年をとっても魅力を積み重ねることができる。女はただ老いていくだけで何も良いことがない。父は母を捨てて若い女と逃げてしまった」というようなモノローグから、キラが老化を極度に恐れている心情が示されるので、そういう心理的要因から皮膚の奇病を患ってしまったのかなあ…などと考えながら観ていたのですが。

 


序盤、白くカサつく部分がまだ指から手の平だった時の映像ですが、
表皮の部分をベロンと剥すところが痛々しくてたまらない。
中盤はもっと広い範囲の皮膚をそれはもうメリメリと脱ぎます。
しかし症状はあくまでも表皮に留まり、真皮の部分はいたって健康だとか何とか…



ということで、何かと絡んでくる隣人のソフィアがケガをしたときに
ちょっと皮膚を頂いてくっつけてみたら、なぜか速攻で馴染んでキレイに治ってしまい…。
医者にかかっても検査結果を待てと言われるばかり、しかし奇病の範囲は腕、肩にどんどん広がってきてとても待てない。

そして死体安置所に侵入して女性の皮を剥いで自分のと交換したり、やっぱ新鮮な女性の方が良いとばかりに自分で殺して皮を剥いだり…と前半は予想通りのサイコスリラーな展開を見せます。
殺人や死体の皮を剥ぐシーンよりも、自らの皮をモリモリ剥がす映像の方が恐ろしく痛々しくてとても観ていられません。…いや頑張って観ましたけどね。


しかしそのやたら絡んでくる隣人のソフィアはキラに対して恋愛感情を持っており、何となく恋人同士っぽいムードになっていきます。キラは同性愛者ではなかったと思うんですが、やっぱ老化したら男に捨てられるというイメージから女性の方が良いと考えるようになったのでしょうか。しかし、それ以前にキラという女性のどこにそんな惚れるような美点があったのか全く分からず、なんでソフィアがあれだけ激しくアタックしてきたのか?
いや絡んだ理由は一応後半で語られはするものの、愛にまで発展する説明にはなってはおらず。
この辺が私にはちょいと難解すぎました。
ソフィアは最終的に「あなたを愛しすぎた」とまで発言してある重大な決断を下すのですが、なんでそこまでキラを愛するようになったのかが理解できなさすぎるのでいくらウェットなBGMで演出されても感動できません。


まあそれはともかく、その奇病と言うのが実は心理的要因からの発病でもなければ、現実に存在する病気でもなく、もうSFの領域。ここは全く予想していなかったのでかなり驚きました。
とはいえ後から思えば結構丁寧に伏線を敷いていたこともあり、素直に感心させられたところではあります。


しかし、それが発覚してからはキラが何をしたいのか、この映画がどこへ向かおうとしているのかがいまいち見えてこない。
老化を止めたいのか、記憶をどうにかしたいのか、それとも医者をどうにかしたいのか…
クライマックス的な盛り上がりもなく、曖昧なムードで淡々と進んでいき…
結局ソフィアの愛が尊かったのである。
…ということが言いたかったのだろうか? と感じるしかないぶった切り風味のエンディング。


女性の、若さや美への執着や女性同士の恋愛に関しての深い理解力がないとちょっと難しすぎるような気がしました。そういうのが得意な人は観てみてもよいかと思います。

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岩石入道
性別:
男性
自己紹介:
B級~Z級映画が主食。ホラー、モンスターパニック系が特に好き。目についたサメ映画全てチェックしたい
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