製作:2017年アメリカ
発売:アメイジングD.C.
元薬物中毒者のアレックスは、主治医兼彼氏のネイサンと共にホラー映画マニア向けの体験型ツアーに参加する。山奥の森で脱走した異常殺人鬼に追われつつ謎解きゲームを楽しもうとする2人。しかし同行者が次々と殺され始め、現実と虚構の区別がつかなくなる。
パズル要素何にもないし…
イスに縛り付けられる場面なんて全くないし…
こんなマスクのハゲマッチョは影も形も出てこないし…
それより何よりデカデカと描かれてる黒髪の女性も一切出てこないってそんな馬鹿な!?
これほどまでにウソ八百で塗り固められたジャケットも珍しい。アメイジングD.C.さんもやってくれますね。なんか一つぐらいは本編に基づいた部分があっても良さそうなものだが、まさか何一つないとは。これはあえて本編を見ないでジャケットデザインしたとしか思えませんな。気合入れて創作しすぎでしょう。それはそれで素晴らしい。ジャケ詐欺映画の歴史に残る逸品。
多分「驚異の37冠」ってのも虚構ですよね?
ホラー映画を模した体験型イベントに参加したら、リアリティがありすぎて仲間が本当に殺されているように見えてしまい、危険な匂いが漂い始める…
…ってありがちと言えばありがちだが、それにしても激しく既視感があるなあ…と思ったら去年の「フィアー・インク」とほとんど同じような設定ではないですか。
主役は例によって「作中ではすごい美女扱いされててモテモテだが、どう見ても疲れた感じのただのおばさん」というパターン。低予算映画では大変よくあることです。「ジョーズ・イン・ツナミ」とか「アフターワールド2020」に比べたらまだ大分マシな方でしょう。
しかし本作のテーマは「愛してるなら、謎を解け」なんて煽り文句でもあるように、愛です(多分)
このおばさんが、「マジメな今カレ」か「チョイワルな元カレ」かで悩んでいる。と見せかけつつ、中途半端に二股をかけようとしてどうのこうのというお話なわけです。殺人ゲームとか謎解きとかは完全にどうでもいいんです。極限状況の2択を用意したかったんでしょうが、仕掛けが雑すぎてただの余興みたいになってます。ふざけんなと言いたい。
↑かろうじて「パズル」っぽいと言えなくもない…かな?っていう、唯一のシーン。
特に深い意味は無い。
それはいいのですが、参加者が次々と殺されてしまい現実と虚構の区別がつかなくなるって展開ですから、ある程度マジっぽい殺され方じゃないと話にならないわけです。
しかし、本作の殺人シーンはかなりチープ。どう見てもヤラセです。しかしそれを額面通り受け取っていいものかどうかが分からない。そこは「フィアー・インク」も似たような印象でしたがわざとチープに見せることでこちらを惑わそうとしているような卑怯な感じ。本作の場合、演技までもがわざとらしく見えるので虚構を示す伏線なのかただの素なのかも分かりません。
とはいえ最後まで観ると本作の趣旨はそんなところには存在せず、本当にただこのヤク中おばさんが今カレと元カレのどちらを選ぶか見られていたというだけの話だったからたまらない。そんなん好きにしてくださいよとしか言いようがない。ヤク中のうえにウソばっかりついてる自己中で救いようがないし。結局最後までどっちつかずだし。本心ではチョイワルが好きだけど、やっぱり安定感ある職業の今カレも捨てきれないというところか。どこに愛があったのか。最悪ですな。
まあ~終盤まではそれなりに退屈しないテンポだったけど、かなりどうしようもない映画ですよこれは。「フィアー・インク」を観たことがない人はそっちを観ればいいと思うし、ある人はわざわざ本作を観る必要はないですね。これならジャケットで全力を出すのも分からんでもない。ジャケ絵と中身の剥離具合から配給会社の苦心を察してニヤニヤ愉しめるような超マニア向けの作品とだけ言わせて頂きます。