製作:2017年ブラジル
発売:AMGエンタテイメント
レストランのオーナーをしているイナシオ。しかし労働環境の悪さもあり、従業員とは上手くいっていなかった。ある時、レストランに2人組の強盗が入るがイナシオは拳銃で返り討ちにする。あとは警察を呼んで解決と思いきや、なぜかイナシオはその場にいた客や反抗的な従業員を拘束しいたぶりはじめるのだった。
「リオデジャネイロ国際映画祭最優秀男優賞受賞!」と誇らしげに書いてあるブラジルのホラー映画。他にも
「あなたはこの拷問監禁ショッキングスリラーに耐えられるか!」「映画ファンの熱狂と圧倒的評価を獲得!前代未聞のラストシーンが待ち受ける!」
「思わず目を覆いたくなる驚愕シーンの連続に全神経が刺激される!」とか何とか色々宣伝してるんですが、宣伝文句ってのは本当に言ったもん勝ちというか何というか、虚偽表示にも程があるんじゃないですか。ジャケ絵のヤバげな殺人鬼など影も形も出てこないし。首切りもカニバリズムも全く無し。
まず「拷問監禁ショッキングスリラー」とのことですが、一応レストランに監禁されている人はいるものの、特に拷問らしきものを受けている感じではなくただ縛られているだけ。
どんなクソ映画マニアであっても熱狂できるほどの何かがあるわけでもないです。私は普段点数で評価はしない方針ですが、本作のダメっぷりをスコアで表現するなら100点満点で8点と言ったところですかね。最底辺と言うほど救いようがないクソ映画でもないが、それなりにこちらを苦しめてくるだけの力はある。楽しめる部分が皆無。
何がやりたいのかよく分からないのにダラダラ。しかもそういうのに限って1時間40分近くもある。最後まで見通すのが非常に辛い一作と言えます。例え超クソ映画であっても明るく楽しく70分程度におさめてくれるマーク・ポロニア監督作品の方がよっぽどマシです。
「前代未聞のラストシーン」って別にこれと言って何にも無いし。これほどまでに「とりあえず付けとけ!」感のある宣伝文句も他にないですよね。配給会社の人も絶対最後まで観てないと思いますよ。
ストーリーの導入は上に書きましたが、レストランオーナーのイナシオという男が強盗を返り討ちにしたのを切っ掛けになぜか発狂し客と従業員を監禁するというものですが、本当になぜいきなりそんなことをし始めたのか分からんうえに何が目的なのかも分からん。最後まで観ても分からん。鑑賞中に何度か意識を失ったせいもあるにせよ…
ちなみにサラというブサイクなウェイトレスがイナシオに協力的であり、2人で仲良く発狂して凶行に及びます。
で、殺人晩餐会というサブタイですしこんなジャケットデザインですしR-18指定ですし、被害者を解体して料理してしまうのだな!?などとエグいスプラッターシーンを予想していたのです。が、そんなシーンは無い。銃で撃ったりナイフで首を切ったりはするので血糊はそれなりに飛び散るが、特にグロイとか怖いとか感じさせる場面はありません。ではどうしてR-18なのかと言えばどうやらエロ方面での規制でした。だがエロイというか激しくキモイです。サラとイナシオが血塗れになって奇怪な動きでまぐわうくだりは確かに「目を覆いたくなる」こと間違いなし。あれだけ生理的嫌悪感を刺激してくる性行為シーンもなかなかお目にかかれないでしょう。気持ち悪いものを観たい趣味がある人にとっては唯一価値を見出せる場面かもしれません。
で、その後、イナシオはナイフを2本持ってシャキンシャキンとこすり合わせながら、拘束している従業員を殺そうとします。
が、なぜか時間が飛び、いつの間にか返り討ちにされ死んでいるイナシオ。
両手両足を縛られていたのに一体どうやって返り討ちにしたのか。それとも思い直して自殺でもしたのか。何の描写もない。
しかもその従業員は切られた髪を後生大事に回収し、なぜかベロベロと舐めとります。きったねーしコイツなんやねんとしか思えませんがこの映画の登場人物は大体そんな感じです。
そしてサラはイナシオの死体に寄り添ってダラダラとポエムを吟じ始めます。
意味不明なセリフを吐けば文学的芸術的だとでも?と言いたくなるあざとさ。そしていよいよ人体解体しようとするシーンでEND。本来見せるべきものは最後まで見せない。レストランから一歩も出れない低予算作品なのでスプラッタをやる金もありませんでしたとさ。
ということで、ブラジル製クソ映画に興味がある人にのみオススメです。