製作:2016年南アフリカ
発売:ブロードウェイ
アフリカ南部にある小さな病院。アメリカ人のヘンリーは虫垂炎の手術を受けようとしていたが病院がゾンビに襲撃されてしまう。アフリカで謎のウイルスが蔓延しあたりはゾンビだらけになっていたのだった。ヘンリーは虫垂炎を抱えたまま無事生き延びることが出来るのか。
今月の新作は長尺なやつが多くてなかなか食指が伸びない中、本作は76分と非常に手ごろな尺だったのでレンタルしてみました。アフリカ産のゾンビ映画とは珍しい。まあ過去には「ゾンビ大陸アフリカン」なんてのもありましたが、本作はそれに比べるとやけに凡庸でやる気の無い邦題。一体何がラストなのか。しかもクソ映画大好きブロードウェイ発売。何だか怪しい臭いが…。
何にせよ、アフリカの太陽照り付ける大草原で太鼓の音と共に活きの良いゾンビが勢いよく飛びかかって来るようなフレッシュな内容を期待したいところです。
と思ったらこれが絶望的につまらない! チクショウやっぱりか!
尺が76分と短いのは良いことだが、ゾンビが襲ってくるシーンも恐ろしく短いとは!
ゾンビの出番10分もないんじゃないのこれ。下手すると5分ぐらいか?
ゾンビなんて最悪メイク無しの白目剥いてるだけでもいいんだからそんなに出し惜しむ必要がないでしょ!
アフリカの草原や森が舞台なので景色はいいんだけど、ただダラダラ歩いてるだけじゃどうにもなりません。
かろうじて見どころと言えるのは、主人公が虫垂炎患者であるということだけです。
いやまあ、見どころっていうかホントはツッコミどころ以外の何物でもないんですが。
手術の直前、麻酔で意識が途切れる寸前に隣のベッドでゾンビ誕生っていうのはなかなか怖いシチュエーションをもってきたなと少し感心したんですよ。目覚めたら無事だったのはいいけどゾンビ騒ぎで手術はできず医者は逃げて放置されたまま。とりあえずゾンビから逃げて車に乗ったはいいが、腹が痛くてたまらない。
どうしても今すぐ虫垂炎の手術をしなくては!
という展開もそこそこユニークかつスリリングですが、だからってさすがにきったないビリヤード台の上で酒ビンを割った破片でゾンビに襲われながら麻酔無しでの速攻手術は無理がありすぎました。酒ビンの破片って…そんなモンでお腹がスッパリ切れるかなあ。しかも縫合すらしてないように見えるんですけど。失血死や感染症のリスクがありすぎて、これなら腹痛を我慢してた方がマシだったとしか思えません。
…でもまあ、そこまでは何とか目をつぶれないこともないです(本当はあるが)。
ゾンビの脅威に晒されながら手術しなければならないスリルを見せたかったんだと思って大目に見ましょう。
しかし、そんな乱暴に腹を掻っ捌かれたヘンリーはさぞかしグロッキーでゾンビから逃げるのに手間取るだろうと思いきや、ふつーに跳んだり走ったりしてしまいます。オイオイオイ死ぬわアイツ。と思ったら2日後にはなぜか完全にダメージ皆無の体力満タン状態に。一体どんだけタフガイなのかと。
…まあ、虫垂炎は無かったことにしましょう。しかしどいつもこいつもゾンビに対して何の疑問も持たないし、ゾンビが襲ってこないわりに大した会話もしないし、アフリカの景色以外に何を観てりゃいいのか全然分かりません。仲間を裏切って一人だけ脱出しようとしてたヘンリーが終盤で急に女医と良い仲になり出すのも全然理解できません。
そんなことより女医の額にわざとらしく塗ってある血糊が時々適当に塗り直されてるのが気になってしまうくらい本筋がどうでも良すぎました。
短いおかげで観られないほど酷いクソ映画ではありませんが、いくらクズゾンビ映画マニアでもこれに新作料金出すのはあり得ないので借りようか悩んでいる人はそのお金で牛丼でも食べることをお勧めしておきます。