製作:2018年アメリカ
発売:アルバトロス
元エンジニアのマニーは、生活のため義父の不動産会社で働いていた。家賃を滞納している住人をむりやり追い出す仕事にストレスは溜まる一方であった。ある時、追い出そうとした住人が高校の同級生ケビンだったが、これも仕事と割り切って追い出してしまう。しかしそのせいでケビンの母親が死んでしまい、マニーの身に不可解な出来事が起き始める。
マンデラ・ヴァン・ピープルズとかいうどっかで聞いたような名前の人が主演のC級ホラー映画。
「わたしたちの”それ”が、わたしたちを襲う」
って何のこっちゃと言う感じですが、最後まで観ても何のこっちゃと言う感じでした。
まあしいていえば”それ”とは「良心」のことかなとは思いますが。
罪を犯した人間が良心に苛まれ恐ろしい幻覚を視て自滅していく。と言う話であれば格好は付くと思うんですが、本作は普通にパワータイプの悪霊がボコボコど突きまわしてきます。原題は「カルマ」なので「イット・フォローズ」とは関係ないかと思っていたのですが、この悪霊の扱いを見るとやっぱりそうでもないようです。
↑まずひき逃げをした男に憑りつき、その後悪徳不動産屋に乗り移った悪霊(?)アダルマ。
悪いことをした人間に憑りつき、なんか色々酷い目に遭わせてくるらしいです。
どうしてこんなものがいるのか?
なぜ乗り移られてしまったのか?
どうすれば祓えるのか?
という疑問は、だいたい無視されます。
対象の極悪度に応じて殺り方が変わるのか、悪徳不動産屋の親玉だったマニーの義父は頭を電動ノコギリで切り裂かれてしまいます。
そこがこの映画最大にして唯一の見所です。
その後アダルマはひき逃げ犯を直接殴り殺したり、マニーの妹を火傷させたり、マニーをど突きまわしたりするんですが、なぜか急に出てこなくなります。
エクソシストみたいな奴にお祓いを頼むシーンもあったような気がするんですが、なぜか最後までエクソシストみたいな奴は助けに来てくれません。あいつは一体何だったんだ。私が幻覚を観たんでしょうか。
なので、クライマックスは家を追い出されて逆恨みした爺さんとの戦いです。
特に悪霊が介入してなくても問題なさすぎる展開。
これなら初めからアダルマなんて珍妙なものを出さなくても、良心の呵責を抱えながら仕事をしなければならない不動産屋と、追い出される貧困層の苦悩のぶつかり合いを描きつつ、中には逆恨みして来るサイコ野郎がいたというサスペンスにした方が良かったんじゃないかと思います。
ラストもアダルマから解放されたのか何なのかよく分かりませんし。
というか、本来は「エクソシストみたいな奴VSアダルマ」というクライマックスが存在したのだが、尺の都合か何かで丸ごとカットしてしまったんじゃないかなという気がします。
一番重要なところを全カット。この想像が本当だとしたらかなりの珍作ですね。オススメは出来かねる作品ですが、観てしまった人はその辺をどう感じたのか聞いてみたいところです。
↑すぐに向かうと言いつつフェードアウトした神父様。彼の身に一体何が…?