製作:2018年アメリカ
発売:プライムウェーブ
youtubeで秘境探検チャンネルをやっているリンジーたち5人は、立ち入り禁止海域の島へ向かっていた。しかし、到着直前にセスナ機が墜落してしまう。何とか救助ボートに乗り込んだリンジーだったが、無線も何もなく孤立してしまう。そこに3匹のサメが襲ってくる。
1月の「シックスヘッド・ジョーズ」以来、めちゃくちゃ久しぶりの新作サメ映画です。やる気を感じられない邦題、syfyチャンネル放送作品、そして安心と信頼のプライムウェーブレーベルってところが少々不安でした。
ちなみに大海原にたった1人でもないしサメは大群ではなく3匹で襲ってきます。いずれにしても地味目、リアル系サメ映画ですね。
内容的には過去の名作サメ映画をツギハギしたような感じでオリジナリティは薄く、具体的に言うと「ロスト・バケーション」と「赤い珊瑚礁」と「ケージ・ダイブ」と「ディープ・ブルー2」を足して水で割ったような出来でした。
いけ好かないユーチューバー共が安易な気持ちで危険を求めて撮影旅行に行ったら遭難してサメに喰われてしまう…
このあらすじは、正直「ケージ・ダイブ」の凄惨な悪夢を思い出してしまって実によろしくない。あんな超クソ映画の2番煎じなどわざわざやらんでもいいのに。
とはいえ、本作の登場人物はバカはバカでもあれほどまでに破壊的なバカではなかったし、何よりPOVではありません。「ケージ・ダイブ」で免疫が出来ている人なら耐えられるでしょう。
それに、ご丁寧に事故発生の3日も前からスタートしてくれた「ケージ・ダイブ」とは違い、本作は当日から始めてくれるし、さっさと墜落して速攻でサメが襲って来てくれます。これはすばらしい。前置きが無さ過ぎて心配になるほどスピーディ。
↑襲ってくるのは一見何の変哲もないノーマルホホジロザメ。
水中にいる分にはまずまずの質感です。
↑ただ、本作のサメは常に3匹で行動しており連携して襲撃してきます。
これは「ディープ・ブルー2」がやると見せかけてなぜかやらなかった試みではないですか。こういう場合パクリと言っていいのかどうか全く分かりませんが、このサメが仲良し3兄弟のように見えてきてなかなか微笑ましいです。
↑3兄弟に襲われながらも目的地のレッドロック岩礁に到着。ここにたどり着くまでの展開はすごく「赤い珊瑚礁」っぽいです。
しかし、こんな何もないところにわざわざやって来て一体何を撮影しようとしていたのか。
リンジーの仲間たちはすぐに喰われてしまうんですが、たびたび回想を挟むことによってその人となりが語られます。前置きが無いと思ったら小出しにしてくるパターン。そんな回想なんて全く要らないんですけどね。「ケージ・ダイブ」っぽい泥沼恋愛劇が仕込んであって不安になりましたが、あそこまで泥沼ではなかった。良かった。しかし何だか「ケージ・ダイブ」のトラウマばかり呼び起こしてくる映画です。
で、この岩礁に到着してからの展開は「ロスト・バケーション」風味なのですが、ツッコミどころはかなり多いです。特に、ボートで助けに来てくれたオッサンがなぜか直前で自ら進んでサメに喰われに行くところはひどい。ボートを持って来たらもう用済みって感じで。しかし何もエクストリーム自殺することもあるまいに。
あと、1匹目のサメの退治方法もすごい。あんなちょっと引っ張っただけで取れる大岩がすぐ近くに都合よく生えてるとは…トムとジェリーのような攻防だった。
全体的に「ケージ・ダイブ」を想起させる点は激しくマイナスですが、それを除けば一応サメ映画としては及第点であると思います。わざわざオススメはしませんが、サメ映画マニアは観るしかないでしょう。