2017年製作アメリカ映画。
友人(?)に邪険な扱いをされて惨めな生活を送っていたSNS中毒者イングリッド。
ある日彼女はカリスマインスタグラマーのテイラーに目をつける。
テイラーに近づき仲良くなることでフォロワーを増やし、自らの虚栄心か何かを満たそうとするのだが、それはいわゆるストーカー行為でもあった。
インスタグラムを題材にした映画ですが、私はSNSをやったことがないので(ブログも広義のSNSに含まれるのかもしれませんが)いまいち理解できていない部分があるかもしれません。
そもそもインスタ界のカリスマ女子って何?
テイラーがなんであんなにフォロワー?集められて雑誌にまで載ってるのかもよくわからんです。
海外版のジャケには「インスタグラム世代には完璧なスリラー」みたいなことが書いてあります。
確かに主人公のイングリッドはかなりのクレイジーサイコさんですが
そこまで危険な犯罪行為に出るというわけでもなく、
SNSでリア充アピールをしたくてたまらないだけのただの粘着質な痛い人という感じ。
普通のスリラーだと、ストーカーされる側の視点で話が展開すると思うんですが、本作は徹頭徹尾ストーカー側の視点が貫かれております。
インスタグラムをやったこともない人間から見ると、スリラーというよりは人型の珍獣を眺めているような気分になる映画でした。
カリスマ女子のテイラーのインスタをフォローするイングリッド。
(照笑)とは初めて見ましたが(核爆)と同じようなニュアンスですかね。
有名人に一方的にメッセージを送りつけられるのもSNSの特徴ですね。
良い事なのかどうか分かりませんが。
とはいえ、何の関係も無いイングリッドがメッセージを送ったところで反応が得られるわけもなく、わざわざ遠いカリフォルニアへ引っ越しをしてまで本人にお近づきになろうとするわけですが、行動力もさることながらその手練手管が凄い。
本物のストーカー気質を持った人が見たら真似してしまいそうなぐらいうまい手口です。これは騙される。
そうしてうまいことテイラーやその旦那とリアルで親友ポジションにまで接近したイングリッド。
一時は彼女の望み通りの華やかな生活を送ることが出来ているようなのですが、
私にはそれの何がうれしいのが全く分からない。
分からな過ぎて不気味です。サイコです。
過去に自分を疎外した友人に対して、
「有名人と親友になった自分」を自慢することが望みなのか?
「あなたが邪険にした私は本当はこんなにイケてるのよ」と言いたいだけなのか?
そんなことにそれほどまでに心血を注いでどうしようというのか…
見栄を張るために必要とあらば彼氏すら簡単に作ってしまえる。
見栄と実のどっちが大事なのか…SNSさえやらなけりゃ普通に楽しく暮らせるんではないか。
即席彼氏、めっちゃ良い人だし…。良い人過ぎて泣けてくる。掃き溜めに鶴。
程度の差はあれ誰しも虚栄心は持っているでしょうが、
それがインスタによって極限まで膨張してしまった哀れな女の話ということでしょうか。
そういう目的なもんだから、結局はテイラーという一人の人間を見て気に入ったわけでもなく
ただイケてる有名人でさえあれば誰でも良かったのでしょう。
そういう人間をストーカーと呼ぶべきなのかどうか。
「彼女が好き」なんじゃなく「彼女と仲が良い自分をインスタで拡散したい」ですからね。なんとややこしい欲望なのか。
好きな人の病原菌をもらいたいとか言ってる変態映画もありましたがあっちの方がまだストレートな分マシな気がしてきました。
インスタグラムへの皮肉が多分に含まれていそうな本作。
でも、もう「幸せアピールをしている人間ほど本当は幸せではない」
みたいな皮肉は陳腐化してたりしますかね。
特にスリリングでも何でもないスリラー?でしたが、
イングリッドの思考回路が理解不能であるがゆえに先の展開も予測不能だったので物語としてはそこそこ楽しめる作品でした。