製作:2019年スペイン
発売:アメイジングD.C.
警察の監視官の夫を持つホリーは、浮気相手のエベレットとホテルに泊まろうとしていた。しかしその不貞は夫にバレており、彼らは人質を取られた上で次々と意味不明な無理難題を出されてしまう。
今さら「ホステル」のパチモンなのかと思うと一かけらも期待する気が起きなかったのですが、それが功を奏したのか意外と楽しめました。やはりB級映画を観る前はハードルを可能な限り地中深く埋めておくことが肝要ですね。
と言っても、前半は予想通りかそれ以上に恐ろしくつまらないです。互いに家庭を持ちながら浮気していた男女が、それを知った夫に監視されながら何やら嫌がらせをされるんですが、公式のあらすじで言うほど「命を懸けたゲーム」って感じでもなく何がしたいのか分からないし、当事者のホリーとエベレットの性格が浮気するだけあって両者ともひどいクサレ脳みそなので「別に助かってほしくもない奴らだなあ」としか思えないのがよろしくない。
基本的にホテルの一室に閉じこもってダラダラボソボソしゃべってるだけで視覚的にも変化に乏しく緊張感も無く、「やっぱりパチモン系B級映画は借りちゃ駄目だな」と改めて痛感させられること必至なのです。
しかし、後半になると展開が一転、妙なツイストを入れてきます。ネタバレは避けますが、それまでの前提が覆ったうえ予想がつかなくなり、俄然真相に対する興味を惹きつけられました。
そして生き残れるのはホリーかエベレットのどちらか1人と新たなルールが提示され、ただでさえド汚い人間性の持ち主なのに、さらにエゴ丸出しの醜い本性をむき出しにしていく不愉快な展開もクズウォッチング的な楽しみを見い出せてなかなかいいです。
↑「あなたは誰にとっても最悪の人間なの」って…なかなかここまでひどい罵倒も観たことないですね。お前も大して変わらんだろと突っ込まざるを得ない。というか、どちらかと言えばホリーから誘惑して浮気に発展したらしいので限りなく逆ギレに近い状態。
真相はシンプルながらも完全に虚を突かれました。それしかないと言えばそれしかないんですが、結構うまい具合に煙幕が効いていたのが良かった。これなら「驚愕のラスト」と宣伝してもいいかもしれません。
もっとも、別に大して伏線があったわけではないし、後から考えると色々と無理があるのでやっぱりそこまで褒められる出来とも言い難い。私はそこそこ気に入りましたが、人にはオススメしにくいかなと。少なくとも「ホステル」シリーズの新作と勘違いして借りた人は1人の例外もなくブチ切れてディスクを叩き割ってるでしょうしね。「ホステル」要素全く何にもないにもほどがある。
なので張り切って新作料金で借りてくるのではなく、まずは本作の存在を忘れてしまい、そのあと午後ローなどで放送された頃に何となくボンヤリ眺めていたら意外と悪くなかった…的な楽しみ方をすべきではないかなと思います。放送されなかったら、忘れたままでもいいです。