製作:1976年アメリカ
発売:クリエイティブアクザ
森林公園で女性観光客2人が熊に喰い殺される事件が発生。動物学者スコットは身長5m超級の巨大グリズリーの仕業と断定。レンジャーのケリーは森林公園を閉鎖するよう警告するが、管理者は全く耳を貸してくれない。そうしているうちに犠牲者は増え、ついにケリーたちはベトナム帰りのドンと共にグリズリーと対決する。
「ジョーズ」の公開後、雨後の筍のごとく作られたアニマルパニック映画の中ではおそらく最も有名な一作。当時、日本での興行収入は6億円近くまで行ったとか。まあ、ジョーズの興奮も冷めやらぬ中こんなカッコいいポスターで宣伝されたらそりゃあ見に行かない方がどうかしてるでしょう。「ハロウィン」が出るまでは世界で最も儲かったインディペンデント映画だったそうです。まさに濡れ手で粟。
しかし中身の方は上のあらすじに書いた通り、ジョーズの鮫をただただ熊に置き換えて上辺をなぞっただけという志の低すぎるお話。全くスリルのない襲撃シーン、カワイイだけの熊とひどいポンコツぶりで、大ヒットしたわりにマニアの間でだけ語り草となっていた珍作です。こんな映画のDVDが高額なプレミアついてて入手困難だというのだから好事家という人種は全くどうしようもないと思います。
監督のウィリアム・ガードラーが徹頭徹尾ヒット作のパクリしか撮らなかったとか、30歳の若さで事故死したとかそういう逸話もマニアに好まれる一因となっているのでしょう(多分)
↑ジョーズと違って実物の熊が暴れまわる本作。とてもじゃないが5m半もあるようには見えないのが悲しいところ。あと普通にかわいい。
女性でも子供でも馬でもガンガン殺しまくる凶暴さを見せつけてはくれますが、どうも盛り上がらない。多分、剛腕一振りの一瞬で殺ってしまうのが良くないんだと思います。人喰い熊直撃と言うわりには捕食シーンが一切ないのも理解に苦しみます。いや、実物の熊しかいないのにそんな場面撮影できない事情は分かりますが、それでも何とかしてほしい。今も当時もジョーズの襲撃シーンの秀逸さを改めて認識し直すためにあるような映画です。
熊が一瞬だけガオーと吠え、一瞬だけ無惨な犠牲者の死体が映るというショックシーンを刺身のツマ程度に挟みながら進行していくジョーズ的ストーリー。何万回も見たパターンなので眠くてたまりませんが、一応耐えられないほどひどくはないです。
しかし主人公たちと熊との直接対決は一体どうなるのかとそれだけを楽しみにしていたら、再生時間残り5分を切っても一向に始まりません。
と思ったら、バズーカ砲の一撃であっさり熊を粉砕。なんというオーバーキル。いつの間にそんなものを用意したのか? そりゃ近代兵器を持ち出せば熊ごときいくらでも瞬殺できるんでしょうけど、身も蓋もなさすぎる。むなしい。大自然の脅威とは? 今まで何をマゴマゴしていたのか?? スリルもくそもないしえらい楽な仕事だなあ…というか、そんなんでいいなら私でも倒せそうです。熊と出会ったらバズーカ砲で対応すべし。これは参考になりました。