人類vs地球
宇宙から飛来した暗黒物質により、
世界は未曾有の危機に襲われた。
大地震・火山噴火・大津波・巨大ツイスター、あらゆる天災が連鎖発生。
絶滅の淵に立たされた人類に、明日は来るのか?
地球規模巨大災害《ジオディザスター》の猛威が人類を襲う!アサイラム社が放つ、ディザスター・パニック超大作!!
(プライムウェーブHPより)
あれ?これってついこないだまで劇場でかかってなかったっけ?
もうDVDレンタル開始されたの?よし、借りてみるか…
…という罪のないライトな映画ファンから小銭を巻き上げ、
内容は言い訳できなくもない程度にハリボテを見せてくる超低予算ムービー。
つまり「ジオストーム」のパチモンです。
ちなみに私はまだ「ジオストーム」は観ていませんので本記事にて両者の比較などは行っていないことをご了承ください。…比較する必要なんてあるわけないけど。
「人類VS地球」とか壮大にも程があるキャッチコピーが輝くセンスを見せつけてくる本作ですが、まずディザスターパニック映画としては天変地異の起こるきっかけに唖然とさせられます。
なんと暗黒物質のカタマリが宇宙から飛んできて地球を貫通するというのです。
↑暗黒物質が地球に高速で衝突。
画面中央下部の黒いモヤみたいなのが暗黒物質のつもりらしい。
いや…暗黒物質ってそういうもんじゃねーから!!
と全力で突っ込まざるを得ませんが、作中の科学者(?)どもは
「暗黒物質とは何か?」と問われて「とにかく有害なもの」
とか答えていたぐらいなのでこの世界では「暗黒物質=隕石的な何か」
という風にむりやり思い込んで鑑賞するしかないようです。
暗黒物質が貫通(笑)したところ。北極?
これのせいでマグニチュード9の大地震、
カミナリ、ツナミ、大噴火、巨大竜巻といった大災害が世界中で起こります。
そのCG映像は違う意味で悲惨の一言。
テントが崖から滑り落ちるシーンのチープさには目を疑いましたが、別に大した崖でも何でもないところで主役のメイソン親子が必死に捕まってる演技をしているシーンも相当なものです。
いくらカメラを傾けたってごまかしきれてないから。
地割れが起こる映像だけはまあまあ良く出来ていたと一応フォローしておきます。
メイソン一家が逃げ惑う途中で目にした驚くべき光景。
なぜか不自然に人が集まってるうえにいきなりそこに穴が。
このシーンはあまりに唐突すぎて、巻き戻して二度見してから笑いました。
ディザスターパニック映画といえば、冷え切った家庭を持つオッサンが主役で、
災害を乗り越えることによって一家の絆を取り戻す、というのがド定番ですが
本作もその流れに沿って人間ドラマが展開されます。
教科書を見ながら作った感があるにしても、偏差値0.3以下と言わざるを得ないくらいアホさ全開でした。いちいち突っ込む気にもなりません。こんなの観ている側の偏差値もみるみる下がっていくこと間違いなしでしょう。
本作の摂取が人体にとって有害であることに疑いの余地はありません。
しかもメイソン一家が砂漠のシェルターに逃げ込んだ瞬間、
なぜか全ての大災害が綺麗に収束するという、人をバカにするにもほどがあるオチ。
いくらメイソン一家が助かっても、ぶっ壊れた地球は一体どうやってもとに戻すのか?
という点だけを楽しみに鑑賞していたら何の理由も説明もなく解決って…
もし本作を「ジオストーム」だと勘違いして観てしまった人がいたとしたら…
かりんとうだと思って食べてみたら乾燥した犬の糞だった、
ぐらいの悲劇に見舞われたということになります。
想像するだけで憤懣やるかたない。
しかし、ニセモノだと分かって食べたとしても犬の糞に変わりはありません。
どっちにしても悲劇です。
それでも構わんという覚悟のあるクソ映画マニアだけが本作を手に取る資格があると言えるでしょう。