製作:2018年アメリカ
発売:カルチュア・パブリッシャーズ
妻が病死したことをきっかけに酒に溺れ、娘たちに見捨てられ冴えない日々を送っていた中年男ジョー。ある日突然何者かに聴覚と視覚を共有され、頭の中に「娘を殺されたくなければ言うとおりにしろ」という声が鳴り響くようになる。そして言われるがままに謎のミッションを遂行するジョーの体に異変が起こり始める。
ワケわかんねェ……
いや、まあ最後まで見れば何となくある程度はわかりましたがね。
それまでの1時間15分ぐらいが非常にツラいというか眠たい(上映時間:92分)
映像はなかなかスタイリッシュでCGの出来も良く、スペクタクルな破壊シーンも見ごたえは充分なんですけどね。
どうでもいいけどこのジャケット「
X-コンタクト」と似すぎじゃないですか?
プロローグ、地球に強力なガンマ線バーストが迫っており終末が近いと予言する若い科学者が出てきます。
じゃ、その危機を回避するために何やかんやする映画なのかな?
と思いきや、その説がどの程度信憑性があるものなのかがよく分からない。世間の反応も政府の対応も無いし、言った本人もそれほど信じてなさげ。「いつかはそういうこともあり得るだろう」程度の話っぽく見えます。
で、それはそれとして家庭が崩壊して陰鬱に悩みまくる小太り中年男のジョー。昔撮ったホームビデオを眺めては涙するという哀愁漂う日々。
長女のゾーイは上の科学者とお付き合いしてたり、次女のレアは薬物中毒で自堕落だったりしてるがどちらもジョーを煙たがっているといったありがちな人間ドラマを展開。これはまた地球の危機を回避する過程で家族の絆の再生を目指す系の話?
と思いきや、ジョーのDNAがなんかに適合しており、なんかどっかの誰かによってなんかの実験体に選ばれます。ここら辺が色々と曖昧で実にぼんやりしており、この映画の目的が何だかよく分からない時間が長く、興味を引きつけられようがない。
で、娘の命が惜しければ…というわけで、どっかの偉い人の家に侵入したり、政府の研究施設に侵入したりと色々やらされた結果、
↑ただの小太りのオッサンだったジョーがえらいことに。
周囲が爆発したり空を飛んだり手からエネルギー波を放ったりとスーパーヒーロー的なパワーを会得。日本人だったらこういう話はまずイケメンを主人公にするところですが、本当に冴えないデブにやらせてしまうところがアメリカ人の良いところですね。
で、彼はストレスがたまるとそれを「偉大なるパワー」に変換出来るらしいです。娘に嫌がられているジョーはストレスも無限大というわけですか。私もストレスをエネルギーに変えて手から放出してみたいものですな。しかもその力を溜めまくれば宇宙から迫りくるガンマ線バーストから地球を守ることが出来るほどの存在にまで至れるとな。やっぱり来るのかガンマ線バースト。
小市民的な悩みから急激に壮大すぎるスケールの話になり、ジョーが選ばれた理由もよく分からんしストーリーを真面目に追いたくなる気持ちも失せ、わりとどうでも良くなってきました。つーかジョーの覚醒とガンマ線バーストのやってくるタイミングがピッタリすぎる。あんな直線的な軌道の光線が地球を直撃するってだけでも奇跡的なのに。ガンマ線バーストってそういうものだっけ?
となると、あとはジョーが手からエネルギー波を放ち、宇宙から飛んでくるガンマ線バーストビームと押し合いへし合いするドラゴンボール的なクライマックスが観られるのかな? という映像的な面白味に期待するしかない。
のですが、そんなアクティブな防ぎ方ではなく何だか守護神的な雰囲気でてきとうにモヤッとした感じでおさめられ、映像的なクオリティはそこそこ悪くないものの特に盛り上がることもありませんでした。家族の再生という面で見てもえらく中途半端。
映像はいいんだけどねえ…そこに力を入れまくってるのはすごく分かるんですけどねえ…
ジョーはただストレス負荷をかけられて振り回されているだけだから、いくらスーパーパワーを得てもただの気の毒な被害者にしか見えないし、自発的に地球を守ろうとしてるわけでもないから面白くなりようがない気がします。