製作:2015年カナダ
発売:なし
保安官ルイスが住む町では、ある石油会社が山の尾根を破壊し問題提起されていた。時を同じく謎の動物の目撃情報が多数寄せられ、事態を収束させるべく動物専門家のサラを町に招くも、その矢先に若い男女が行方不明になったのを機に、住民たちが次々と謎の動物の餌食になってしまう...。
(↑Amazonより)
ぱっと見た感じクマ映画なのかなと思って鑑賞してみたんですが、全然違いました。
観終わってから調べたところ原題は「Prairie Dog」なので、どうもこの映画に出てくるモンスターはプレーリードッグのようです。私もさんざんアニマルパニックやモンスターパニックを観て来ましたが、さすがにプレーリードッグものは初めてでした。どうせごく一部のマニアしか観ないような超Z級映画なんだからこんな凡庸な邦題ではなくしっかりプレーリードッグをアピールしておけばいいのに。シンプルに「キラー・プレーリードッグ 殺人栗鼠」とかにしてTSUTAYAに並べて置けば高回転間違いなしだと思うんですよ。
…とはいえ、もし本作が本当にTUTAYAで高回転した場合、さすがにクレームが殺到するのは免れないと思われます。
恐ろしく安いんです。
海外サイトで調べてみたら、製作費は6万カナダドルだそうです。
日本円だと約480万円。だいたいシャークネードの20分の1ぐらい。
ストーリーは、石油会社の自然破壊のせいで変なモンスターが人を襲いはじめ、保安官が動物行動学の専門家と一緒に対策をする…みたいな感じのようです。が、石油会社なんて出てこないし、背景はあまりにも自然豊かすぎてどこら辺が破壊されてるのかわからんし、モンスターが人を襲うシーンなどほぼ一瞬しかありません。
それより何より、モンスターを追跡するためにわざわざ動物行動学の専門家を呼び寄せておきながら、全く追跡も何もしません。準主役っぽい雰囲気だが何しに出てきたのかわからんという有様。主役の保安官は聞き込みとか怪しい男を逮捕したりしますが、モンスターを追う気はまるでなし。
じゃあ何があるのかと言えば、たとえば小さな女の子が毛虫を見つめるシーンにやたら尺をとってあったりします。別に無理して90分映画にしなくても65分ぐらいあればいいんだよと言いたくなります。
↑Z級映画の定番、夜のシーンを昼間に撮影して変なフィルターをかける手法。今まで観た中で最も濃度が高いフィルターです。ハンターが夜間にモンスターを追跡するシーンもこんな感じですが、こんなに暗いのに懐中電灯も使わないし違和感ありまくり。ただ、本当に夜に撮ってるシーンも入り混じってるので少し混乱します。
↑保安官たちが一向に追跡しないので子供たちがモンスター探しに出向くと、こんなバケモノが…!
というショッキングなシーンなんですが、人間の後頭部にしか見えません。
というか、実際にスタッフの後頭部を撮影してるんじゃないかと思います。
↑そしてついに牙を剥いて襲ってくる謎のモンスター!
と思ったら毛が生えていないトカゲのような風体。プレーリードッグでもなさそうですね。
前述した人間の後頭部型モンスターともまた別物のようです。
あとついでに、バンパイアみたいな人型モンスターも襲ってきます。何の説明も考察もないのでなんでそんな複数種類のモンスターが襲ってくるのか何一つわかりません。
そしてバンパイアとは保安官が素手で戦うんですが、保安官は散々にボコられてしまいます。
が、その直後にあっさりとバンパイアを射殺。
銃持ってるんなら最初から使っとけよ!!とすごくつっこみたい。
そして大ボスの巨大プレーリードッグ(?)は、クライマックスで保安官たちと対峙するものの、保安官は無言で銃を捨ててギブアップ。巨大プレーリードッグも何もせずに立ち去ります。何でそうなるのかは全く分かりません。
そしてCGのトカゲモンスターは放置。この映画、結局何も解決していません。
わずか6万カナダドルで作られたのだと思えば非常に生暖かい気持ちで鑑賞できるZ級映画ですが、エンターテインメントとしてはマーク・ポロニア監督作の方が上と言わざるを得ないでしょう。プレーリードッグ映画という点に希少価値を見出せる方以外は、フランケンジョーズでも観ていた方が有意義かなと思います。